12/10 (土) 23:30 心配事

テレビのワイドショーを見ていたら、希がインタビューに答えていた。

「もうすぐ誕生日を迎えられますが、当日のご予定は?」

「殿下が誕生会を企画してくださっているそうなので、近しい人たちと一緒に過ごすことになりそうです」

「もちろん、彼女もご一緒ですよね」

「今回の件に関しては殿下がひた隠しになさっていますので、当日までは何も教えていただけないのです。招待客リストに入れてくださっていると嬉しいのですが、実際のところはどうなのでしょう?」

希はすまし顔でかわしてくれていたので、内心ホッとした。というか、思わず笑ってしまった。誕生パーティーまであと一週間。でもテスト勉強のおかげで、役作りはほとんど進んでいない。どうにも何だかそういう気分になれなくて・・・。役だと割り切らなきゃいけないことは分かっているんだけど、未だにその切り替えがうまくいかない。先輩方からは、お稽古の時に本気を出せない人間が、本番でいい演技ができるわけがない、と言われているのだけど、希みたいに器用には演じ分けられない。それに今回は役があってないようもので、そんな風に演じたことは今までになかったから、どうなるのか予測がつかない。

そんなときに、希から電話がかかってきた。とりあえず、インタビュー見たよ、と話すと、

“でも、誕生日だなんて、今日の朝殿下がおっしゃるまで忘れていたよ”

あ~!やっぱり日にちの感覚がおかしいままなんだね。

「ホントに何も聞いてないの?」

“迎賓館でパーティーをすることは聞いてる。もちろん、深雪や先輩が来てくれることも”

「でもそれ以上は聞いてないんだ」

「そう。だから、今も敢えて聞いたりしないよ。単純に、深雪と一緒に誕生日が迎えられることが嬉しい。それだけで十分だよ”

・・・でも、ドラマの進み具合によっては、折角の夜も台無しになるかもしれないんだよ。と、複雑な心境のまま、返事ができないでいると、

“大丈夫。深雪のことをメチャクチャにしたりしない。いくら誕生日だからって、自制できなくなるような男には成り下がりたくない”

かぁ~っ。そんなこと心配してないよ!・・・ううん、そっちのほうが大事かも!?え~、どんな誕生日になるんだろ。心配事が増えちゃった。

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