1/24 (火) 3:00 不安

…何かが鳴っている。…電話か?

「はい、もしもし」

“希?…寝てた?”

深雪か?…もう朝なのか?…いや、ソファーで寝てしまっていたようだ、って、まだ夜中じゃないか。

「うたた寝していたから、起こしてくれて助かったけど、こんな時間にどうした?」

“うん…、ちょっと怖い夢を見て、希の声が聞きたくなったの”

かわいいこと言うじゃないか。ということで聞いてみると、夢の中でデートしているときに発砲事件があって、僕が深雪をかばって倒れたのだと。

“凄くいっぱい血が出てね、そのぬるぬるとした感触が今もはっきり残っていて…”

「大丈夫、そんなことにはならないよ。外出するときは防弾ベストを着けているし、皇太子になってから、警備員も増えたしね」

“でも…”

「ただの夢だろ?それに、深雪を守れたのならよかった」

“ダメだよ、私だけ助かっても。…希が一緒じゃないと”

…ホントにかわいいことを言うね。そういえば、いつもは遠慮して思ったことをなかなか言わないのに、これほどストレートに言うなんて珍しい。

「大丈夫、深雪を置いていったりしないよ。安心していい、何かのときにはすぐに駆けつけるから」

“…ホントは、今すぐ会いたい。でも無理だって分かってる”

…深雪。…車の免許があれば、今すぐ駆けつけて抱きしめてあげるのに。

「深雪、ビデオ通話にしよう。俺の顔を見たら、少しは安心できるんじゃないか?」

“いや、それはいい…。今はよれよれだから”

「何だよ、それ。…まあ、いいか。俺も、今よれよれだし、深雪に嫌われたら困るからな」

“そんなことは絶対ないよ。…でも私は、希の彼女でいていいの?私なんかでいいの?”

声がうわずっている、マズイ。

「きっと俺のほうが、深雪を必要としている。お前でなきゃダメなんだよ。ずっとそばにいてよ」

“希…”

「会える時間を作るから、もう少しだけ待っていてほしい」

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