2/9 (木) 14:00 学校関係者との打ち合わせ

今日殿下は、授業に出席されているので、その間に、私は学校関係者と打ち合わせをさせていただいている。

「沢渡くんの出席日数ですが、ギリギリなんですよね。しかし、皇太子殿下だからといって大目に見るわけにいかず、もし足りなくなった場合は、進級を見送ることになります。…もちろん、そんなことしたくありませんが」

「ご迷惑をおかけして申し訳ありません。こちらでも、科目ごとに必要単位を細かく計算し、効率よく出席することで、何とか進級できるように、計画を立ててみました。これで問題ないか、目を通していただけますか?」

これで、もし殿下が体調を崩されて、出席できない日が増えたりなどしたら、完全にアウトだ。だから余計に、健康管理には細心の注意を払わなければならない。

「また後で、正確に計算させていただきますが、殿下は成績も優秀ですし、生徒会活動にも参加してくださっていますから、できるだけ便宜を計らうようにいたします。殿下のおかげさまで、来年度の入学希望者も増加しまして、ありがたいことばかりです」

だが、殿下の周辺はまだいいにしても、深雪さんの周囲は険悪なムードが流れていると聞く。

「川端深雪さんに関してはどうですか?今は、彼女を無視するような風潮になっているそうですが」

「林田さんのこともあり、むやみに近づくと面倒なことが起こるという認識は広がっているようです。…川端さんのことは認めたくないけど、彼女に手を出すと沢渡くんに嫌われる。それだけは避けたいというのが、本心ではないでしょうか。沢渡くんも警戒しているのか、あまり笑顔を見せなくなりましたよね。10代の子たちは難しいです」

あー。殿下自身は、深雪さんに会えるということで、喜び勇んで登校なさっているが、そうか、普段はあまり笑顔をお見せにならないのか。…殿下が凄みを利かせると、迫力がありますからね。

「それでも、2年生はみんな楽しそうでいいですけど、1年生は大変ですね。互いに牽制し合ったり、また沢渡くん自身も距離を置いたりして。また、登校している日と、していない日とでも、状況は違いますし。いろいろとやりにくいですが、それ以上に、沢渡くんに在籍していただいていることによって、得る恩恵のほうが大きいですから、仕方ないですね」

その辺りも、最初殿下に学校に通っていただくことになったきっかけは、人間関係を勉強していただくことだったが、すべてをお任せしていては、学校生活が煩わしいものとなってしまう。昨日の健康管理のこともそうだったが、不穏な因子は、あらかじめこちらで排除させていただくことも必要になってきたようだ。

そして、深雪さんにも、快適に学生生活を過ごしていただけるよう、お話をさせていただこう。深雪さんが悲しそうになさっていると、殿下も悲しまれるから…。

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