大分回復してきたので、宮殿に戻ってきた。しかしずっと寝ていたせいか、足元がふらつくので、ずっと加藤に支えてもらっている。
「数日のことなのに、こんなにも衰えるんだね」
「そうですよ。ですから今後は、大事になる前に、こまめに休むことにしましょう。いいですね」
はい。…返す言葉もない。何にせよ、弱みを作ってしまうと、僕の地位が危うくなる。沢渡班のみなさんにも謝罪しに行かないとな。
「それも、完全に回復してからにしましょう。このようなご様子で何を言われても、説得力の欠片もありませんから」
「でも、デスクワークならできるよ。そろそろ仕事に戻らせてくれない?」
すると、加藤はきっと僕を睨みつけて、急に手を離した。
「わわわ!」
そして、すんでの所でまた僕を支えると、
「部屋の中の移動ですら困難な方が、何をおっしゃっているのですか?殿下はもっと、ご自分のことをよくお知りになるべきです。他人のことよりも、まずはご自分のことです!!!」
はい。…すみません。
「でも、そろそろリハビリを…」
「ですから!!!」
あ、これは完全に怒らせてしまった。
「今は休むことも仕事のうちです!そのようなことをおっしゃるなら、また、セカンドハウスに戻っていただきますよ!!!」
なるほど。物理的にも仕事から遠ざけていたわけか…。情けないなぁ、ホントに。
「もうすぐ、深雪さんがいらっしゃいますから、その前に入浴を済ませましょう。さすがに、深雪さんにはお任せできませんし」
はい…。確かに…。今のところは加藤の言うことを聞いておこう…。