「明日、大丈夫だよな」
・・・その言い方は・・・ないんじゃない?
「キャンセルしてくるのはいつも祐輔のほうじゃない」
「だからもう懲りて、来てくれないんじゃないかと心配になって」
・・・そういうことね。
スキャンダルは命取りになると、付き合っていることは内緒にしてほしいと言われ、その上約束はかなりの割合でキャンセルされている。でもその度にますます会いたくなって、好きなんだって気づかされる。以前は会いたいって言わなくてもいつも側にいてくれたのに、今では立場が逆転しているみたい。
テレビや雑誌は欠かさずチェックしている。少しずつだけど注目の度合いが増えているところを見ると、嬉しい反面、寂しい気持ちにもなる。今まで知らなかった表情を見せる時がある。・・・外見からして違う、髪だって伸ばしているし、スーツを着ていたりもする。そんな風に祐輔はどんどん変わっていくのに、私はこのままでいいのだろうか?焦る気持ちも芽生えてくる。
「やっぱり、美智に祝ってもらいたいから」
よかった。私をこんなに心細くさせているんだから、その埋め合わせはしっかりしなさいよ!・・・って以前なら思っただろうに、今は弱気になっている自分がいる。純粋に嬉しい。
「何がほしい?」
いつも聞くことにしている。本当はもっと前に聞いておきたかったんだけど、ギリギリになっちゃったね。でもちゃんと探してくるから。
「一緒にいれればそれでいい。それが一番嬉しい」
「祐輔・・・」
そんなこと言ったの初めてだよ。しかも、儚い、消え入りそうな声で・・・。どんな顔をして言ってるのよ、会いたくてたまらなくなるじゃない。
「分かったよ。精一杯お祝いしてあげるからね」