今日から1週間のオフ。ただ、間もなく議会が始まるので、心からのんびりはしていられないのだけど、休めるときには休んでおかないと。それも国内にいるとついついあれもこれも気になってしまうので、外国に出ることにしている。
いくら仕事を優先させると言っても、たまには僕だって舞とのんびりしたい。それに僕は、いつも彼女と一緒にいてあげられるわけではない。・・・そんな個人的な事情もあるけれど、彼女が仕事を辞める日も近づいてきているので、打ち合わせもしなければ、という公的な事情もある。・・・でもまあ、その話はそのうち。
実は今回は、単純に僕たちの旅行として計画したのではなく、途中で高校時代の友人の結婚式に出席するというイベントもある。それは、僕たちの結婚の参考になると思うのでよく見ておきたい。
運転免許を取らせてもらえないので、やむなく運転は竹内に任せ、僕たちは後部座席での会話を楽しんでいた。
「こんな時にごめんなさい、一つだけ心配事があるのよ」
何?どうしたの?
「年明けに家にいないということは、誰からカードが届いたのか分からないということなのよ。だから、もし私が出していない人から届いたら、どうしようかと思って」
・・・それって、こんな時に言うセリフ?
「別にいいじゃない。外国に行っていたの、ごめんなさい、で」
「でも、仕事関係だったら、失礼に当たらないかと思って」
「・・・だったら、隣に僕の署名を入れておく?・・・別に軽んじて言っているわけではないよ。そういうことを言っているとキリがなくなるから、これ以上気にしてもしょうがないということだよ」
・・・そうだよね、と彼女が、まだ納得いかないけれど、何とか自分を納得させようとするように言った。
「貴くんのほうが大変だよね。・・・会った人って、みんな覚えてる?」
「さすがにみんな、とは行かないけれど、出来るだけ覚えておくようにはしている。困ったときには、竹内や秘書に聞けばいい」
なるほどね・・・、と頷く彼女。
「でも、しばらくすれば、カードがどうなんてこと忘れるよ。日にちだって分からなくなる、きっと・・・」
日常から脱却しに来たんだからね。何も考えないことにしよう。