4/7 (火) 15:00 入学式

これが高校というものなのか?

僕は今までずっと大人に囲まれて生活していたので、これほどの若者をまとめて見たことがなかった。今までに外国に留学したことはあったけれど、所詮短期間のことだったのに加え、母国語が聞こえない環境にいると、疎外感を感じるのはやむを得ない。

しかし今こうして、教室で、言語が同じ生徒たちに囲まれると、ああ、僕も15歳の若者だったのだと再確認させられて、何だか嬉しいやら、情けないやらで、複雑な心境になってくる。

「ものの見事に、みんな君を振り返るね」

僕が実質初めての学校生活を送るに当たりお願いしたのは、朝霧に側にいてもらいたいということ。彼がいれば、かなりの安心材料になるに違いないとは思っていたが、早速出番が来たというわけだ。

「意外と僕と一緒にいる朝霧を見ていたりして」

「僕はおまけだよ。どう見ても君は目立っている」

そうかな?でも誰も話しかけてこない。

「だって、こんなすらりとした長身に、腰まで髪の毛があって、やけに整った顔立ちの男は普通見かけないからね」

そうなのか?これでも陛下からいただいたピアスはあまりにも綺麗過ぎるので髪で隠しておくことにしたのだけど・・・、いや、そういうことではなくて、僕よりも殿下や結城のほうが、男性としての魅力に溢れていると思う。朝霧だってそうだ。彼の奏でるヴァイオリンは天下一品だ。

でも教室の席に着くと、奇妙な雰囲気に包まれていることに気づいた。すでにいくつかのグループに分かれていて、そこだけで盛り上がっているのだ。当然僕は朝霧と二人きりで、他のグループに入る余地はない。

「これって、どういうこと?」

「多分、同じ中学だったりして、知り合いなんじゃないかな?」

かと言って、僕自身もなんて話しかけたらいいのかよく分からないし。・・・この距離を縮めることは難しい、と思ってしまった。この先大丈夫かな?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です