「あれは嫉妬かな?」
週末ならではの甘い夜も、いつもとは少し違う。
「そうでなかったら何なのよ。・・・部長を見損なったわ。ビデオドラマの撮影もまだなのに、何が分かるって言うのよ」
・・・俺としては、何故沢渡のためにそこまで熱くなっているのか、というのも気になるが。
「こうなったら、徹底的に沢渡くんを立派な主役に仕立て上げてみせるわ」
「待てよ。そんなことをしたら逆効果なんじゃないか?ますます部長が・・・」
「文句を言わせないくらいいい演技をさせるのよ。これは私たち2年が試されてるということでもあるんだから、祐輔もしっかり協力してよね」
・・・怪しい。何なんだよ、その剣幕は。
「気に入らない」
「何がよ」
「お前がだよ。沢渡、沢渡って言いやがって・・・」
そして反対を向いて布団の中に潜る。どうにでもなれっていうんだ。
「祐輔こそ何よ。部長みたいに意識しちゃって・・・。でも沢渡くんに演出のことを知ってもらうのもいいことだと思う気持ちもある。彼は相当頭がキレるわよ、加えて観劇経験も多いみたい。だから絶対戦力になる。でも舞台に出さないのは絶対間違ってる」
まだ言うのかお前は・・・。夜くらいゆっくりさせてくれよ・・・。今夜は家に帰りたくないのに・・・。
「あ・・・祐輔?」
「もう眠い」
「・・・ゴメン。そんなつもりじゃないの。あんまり頭にきたものだから・・・」
「分かったから、もう寝よう」
「・・・ホントにゴメンなさい。私、演劇のこととなると熱くなっちゃって・・・」
・・・もういいんだ。分かってる、それは。俺も部長に疑問を抱いたのは今回が初めてなんだから。