5/3 (日) 1:50 好きという気持ち

そもそも僕は有紗さんのことが好きなのだろうか?と一人ベッドの中で考えてみる。一応今では秘密の恋人ということになっているらしいが、もともとは有紗さんからのアプローチによるもので、僕としては拒む理由がなかったからこうなっただけだ。かと言って、この気持ちは、好き、なのか?

宮殿にいる女性の数は限られている。ましてや外界にはほとんど出ることがなかった僕には、恋をする機会がなかった。幼稚園の頃には大きくなったら結婚しようなんて言い合った女の子がいたけれど、それは別の話。

そもそも人を好きになるということはどんなことなのか?好きにもいろいろあって、尊敬するという意味では殿下や結城のことが大好きで、友達という意味では朝霧のことが好きだ。最近では兼古先輩のことも好きだ。では、上柳さんは?・・・慣れない学校生活の中で手を差し伸べてくれたことには本当に感謝している。だから僕に出来ることがあるのならお礼として協力してあげたい、でも付き合いたいのかというと違う。

僕には有紗さんという恋人がいる。まだ付き合い始めて間もないけれど、週末になれば会えるというのは楽しみなことになっていた。彼女はとても綺麗で、洗練されている大人だ、学校で会う女の子たちとは違う。そして・・・僕のことを愛してくれている。だからその気持ちに甘えているのではないか?

でも僕はどうしたらいい?ここは有紗さんに謝るべきなのだろうか?でも上柳さんのことを相談することがそんなにいけないことだったのか?女同士なら気持ちが分かるだろうと思ってしたことなのに、結果としては更に有紗さんに関する悩みまで増えてしまった。かと言って、有紗さんとのことは誰にも話せない。しかし、このまま悩みを抱えたままでいると、結城にすぐにバレてしまう。

いや、有紗さんのことはいい。上柳さんとのことだけ相談すればいいんだ。僕は決心して、結城の部屋に行くことにした。・・・このままでは眠れない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です