5/7 (木) 8:30 真相

驚いた。学校生活だけでも大変なのに、有紗さまと付き合い始めたとは・・・。

「成り行きだよ。特に僕が頼んだわけじゃない」

・・・陛下の実娘相手に、よくそんなことが言えるね。あの方はヤバイ。僕は親しいわけでも何でもないけれど、それだけは分かる。

「でも、誰にも迷惑をかけていないから、悪くはないと思っている。週末に少し会うだけだし、僕たちのことは僕たちで解決するようにしているし」

「陛下には?」

「内緒」

「それから、上柳さんのことは?」

・・・普段はこんな感じで根掘り葉掘り聞いたりはしないのだけど、昨夜結城さんから念を押されたので、聞かないわけにはいかない。

「とりあえず、相手の女の子たちには注意をした。そして上柳さんには、今後も何かあったらすぐに言うようにと話しておいた。これからは僕も彼女の好意に甘えすぎないようにするよ」

・・・何やら、一騒動あったような口振りだね。いつの間に。

でも改めて沢渡を見ると、入学当初のおどおどした感じからは大きく変わっている。今ではクラスに意見もするし、男子からも声をかけられるようになっている。その姿には確かに自信を感じられるし、凛々しくもなったように見える。

「それよりも、朝霧まで巻き込んで悪かった。結城とはちゃんと話をするよ」

ほらやっぱり・・・。より頼もしくなったね。ところで、以前から気になっていたことがあった。

「その香りはもしかして・・・」

「ああ、有紗さんからいただいたものだ」

・・・なんだ、僕はちゃんと気づいていたんじゃないか。

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