7/13 (月) 23:30 目標

何故か、今回の議会は出だしが悪くて頭が痛い。・・・そんな小さなことにこだわっている場合ではないよ。他に決めなければならないことが山ほどあるのに。でも今は、仕事のことは考えないことだ。一時的に頭を空にすることで、次にいい考えが浮かぶことがある。

風呂上がりに、僕はマッサージを受けていた。・・・今日はさすがに疲れたなあ。

「竹内、悪いけど、週末はぱぁ~っと遊ぶからね」

「殿下、早くも週末のお話ですか?まだ月曜日ですよ」

だって、楽しいことを考えないと、やっていられなくなるから。

「それで、どちらにお出かけですか?」

僕は高校時代、バンドでボーカルを務めていた。もちろん入宮したことでバンドを抜けたのだけど、当時の仲間とは今でも連絡を取り合っている。そしてそのうちの一人が新たなメンバーを募って活動を続けていて、今やヒットチャートを賑わせている。

「祐一から、この間メールをもらったんだよ。この土日に首都公演があるから来ないかって。その時はためらっていたんだけど、もうこうなったら、行くしかない。竹内、よろしくね」

「よろしくね、とおっしゃいましても・・・」

竹内はブツブツ言っていたが、止められても聞かないことは、彼にも分かっているはずだ。

「殿下がもし入宮されなかったら、バンドを続けていたと思われますか?」

どうかな。確かにとても楽しくて歌うことは気持ちよかったけど、プロになるまでの意志はなかった。そうなると逆に、祐一には迷惑だったに違いない。今も仲良く出来ているのは、僕が辞めたからだ。仕事のことでケンカしたくない・・・彼とは。

「でも、大きい会場のステージに立つのは気持ちいいだろうね。・・・そうだ、彼に花束でも持っていこうか」

「アンコールの時にですか?でも、議会が大変な時にそんなことをなさると、何を言われるか・・・」

「そのためにも、頑張るから、ね」

目標ができればこっちのもの。明日から頑張るぞ!・・・でも。

「痛いよ。もう少し優しくして」

「あまり興奮なさいますと、また眠れなくなりますよ・・・」

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