「響・・・響・・・」
と結城の声がし、僕の身体を揺さぶっているのが分かる。
「何?どうしたの?」
「どうしたの?じゃないだろう。お前、大丈夫か?」
本当に何?・・・ここは議場の控え室。周りには結城と・・・陛下。
「響くん、本当に大丈夫かね。具合が悪いなら休みなさい」
「いえ、別に平気です」
・・・それにしても、みんなどうしてそんなに心配そうに僕を見るのか。
「俺と話していたのに、突然言葉が途切れて、そのまま眠りに落ちていた。・・・座ったままで15分ほど」
え~。そういえば、そうだったかもしれない。
「もうすぐ休憩が終わるけど、どうする?このまま帰ったほうがいいんじゃないか?」
「ううん、大丈夫。・・・陛下、少々眠かっただけですから、ご心配には及びません。さすがに仕事中にこのようなことはありませんから、ご安心ください」
「だが響くん、議会はまだこれからだから・・・」
「いえ、今日は私が出席しませんと、折角の場が台無しになってしまいます」
そうだね、と陛下は僕の肩を叩き、出席を許可してくださった。・・・よかった。
「・・・にしても、お前怖いよ。電池が切れた人形みたいに、急に動かなくなるなんて」
結城は立ち上がった僕をもう一度座らせて、こっそりと囁いてきた。確かに。そのことをよく覚えていないというのは、危険なことかもしれない。
「竹内、コーヒーを」
「・・・かしこまりました」
いつもはコーヒーを飲ませてくれないのに、速やかに運んできてくれる。今週は頑張らなければならない。この議案を通さなければ、秘書や仕官たちの苦労が水の泡になってしまう。
「うん、もう大丈夫」
「そうか、無理するなよ。いいな」
分かってる。誕生日を盛大に祝ってあげないとね。