7/20 (月) 16:45 緊張感

相変わらず、学年トップは沢渡希。しかも今回は100点が3つあったらしい・・・その3つには手を加えなかったというのだから、他のも、と考えると恐ろしい。議会の手伝いをしているので忙しいはずなのに、頭がいいヤツは困る。

僕はといえば、今回は特に行事もなかったので・・・実はそれだけではなく、結城さんからしっかり勉強するようにと言われたせいもあって、13位。自分で言うのもなんだけど、頑張った。宮殿の中は慌しいのだけど、僕は静かな時間を過ごしている。・・・少し申し訳ないと思うところもあるのだけど。

さて、全国大会がいよいよ近づいてきたので、部内も慌しくなってきた。地区予選の時から大きく変わったのが沢渡の役だけど、今日はまだ当の彼が来ていない。見渡してみると、兼古先輩もいない。文化祭のことで打ち合わせがあるようだ。

「じゃあ、揃っているメンバーだけで始めるから、集まって」

部長は少々イライラしている。僕が思うに、どこもかしこもいつの間にか沢渡ペースになっているような気がする。クラスのメンバーはすっかり、沢渡のリーダーシップに頼もしさを感じているみたいだし、部活でも部長がしきりに沢渡のことを気にしている。・・・だったら、文化祭の打ち合わせもさっさとまとめて来てくれるといいのに。

「遅れてすみません」

そこへ、兼古先輩と沢渡が揃って入ってきた。二人とも走ってきたようで、少々息が上がっている。

「じゃあ、二人もスタンバイして」

「あ、部長。今沢渡と相談してたんですけど、新しいことを試してもいいですか?」

兼古先輩が言うと、部長は何なんだ?と一瞬ひるんだ。

「もちろんいいけど・・・どんなことだい?」

「それは見てのお楽しみですよ。・・・な、沢渡」

はい、と沢渡まで楽しそうに笑っている。・・・お願いだから、部内に変な緊張感を持たせるのはやめにしてほしい。それは、それぞれが高い志を持っているといういい証拠でもあるのだけど、僕のような平凡な1年生部員には、派閥争いは迷惑でしかない。・・・この世の中は、神経が図太くないとやっていけないんだろうなあ。

「・・・それ、面白いね」

意外なことに、部長までもが、大声を上げて笑い始めた。・・・僕はやっぱり沢渡の応援をする。彼のアイディアは面白いから。

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