しかし、宮殿でもトラブル発生・・・。
殿下の秘書とある書類について話していたら、口論に発展してしまった。・・・僕はそのつもりではなかったのだけど、他の人の目にはそう映ったらしい。ということで、別々に殿下のお呼びをいただいてしまった。
「沢渡くん、君からも事情を説明してくれないか」
相手の秘書の方はすでに殿下と話をされたあとだ。双方の言い分を聞いてから、殿下が判断されるらしい。・・・いや、もれなく結城も。
「どうやら、沢渡くんではなく彼のほうに非がありそうなので、あとで注意しておくよ。でも、僕の部署でのトラブルはごめんだ。君の立場は次期皇太子ではあるけれど、今回の議会においてはまだ他の秘書と同等だ。君が書類の間違いに気づいたのはいいが、言い方はそれでよかったのかもう一度考えてみてほしい。仲間同士で穏便に解決することも学ぶように」
はい・・・。僕は宮殿では一番年下だから、いつも言葉遣いや態度には気をつけている。それに関しては問題ないとは思うのだけど・・・イライラしていたせいかな?今となってはよく分からない。
そして僕は、結城の部屋に行くことにした。
「まだ納得できないって顔だな」
・・・納得できないというわけではないのだけど、そんなにいけないことだったかな?というのが正直な気持ちだ。
「ただ、お前自身の感じ方と他の人の感じ方は違うってことだけは覚えとけよ。ましてや、まだお前は見習いだ。響としては信頼できる部下を揃えているという自信があるのだから、そこでトラブルが起きたとなれば、響のプライドも傷つけられたことになる」
殿下にご迷惑をおかけするつもりは・・・。
「お前が時々しかいないのにいい仕事をするので、周りが面白くないと思っていることは確かだ。でも俺は、いい仕事をしてくれる人材は大歓迎だ。頑張れ」
結城・・・、ありがとう。
「どうだ、りんごジュースは?」
・・・僕の好物りんごジュース。結城の部屋で飲むそれは、格別の味わいがする。明日も頑張ろう。