8/17 (月) 16:30 部活再開

こうなったら僕も!とばかりに、自宅に帰ることにした。この二週間、殿下の器の大きさと度胸の据わり具合を存分に拝見させていただいたので、何とかしなければと思ったのだ。元を正せばこれは僕自身の問題だし、殿下が責任を負うとまで言ってくださっているのだから、あれこれ悩んでいる場合ではない。昨夜自宅に帰り、今日は自宅から学校に行くことにした。「沢渡くん久し振り」

真っ先に言ってくれたのは、清水先輩だった。

「この間劇場で見かけたわよ。一緒に観れたらよかったのに」

ギクッ・・・。いきなりそんなこと言わないでくださいよ。やっぱり、どこで見られているか分からないものですね。

「それはさておき、今回も楽しみにしているからよろしくね」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

台本を読ませてもらったけど、長さの関係でアレンジされているところがあった。でもそれが逆に斬新だったので、部長のセンスには感嘆させられた。今度の僕の役は、前作とは違って、何につけても不器用な男。上流社会の中でいくつかの恋の駆け引きが行われるのだけど、見かけに反して粗野なところがあり、ゲームに勝てない・・・。

面白いと思った。粗野な僕ってどんな感じだろう?姿勢が悪かったり、言葉遣いがよくなかったり・・・、それを想像するのはとても楽しい。僕は原作の舞台を観ているのだけど、台本を読んでみるとその彼とは少し異なっている。だから、原作を参考にするのではなく、一から作り上げてみることにした。

今回、部長は、元は完璧だったのに堕落して勝てない男、兼古先輩は、虎視眈々とゲームを楽しむ男を演じる。・・・兼古先輩はカッコよさそうだ。

とりあえず台本読みに入ったが、すでに僕は本気だった。

「沢渡、気合いが入っているのはいいことだけど、ちょっとイメージとは違うかな?だからいろいろ試してみて」

あれ?違うのかな?ふと兼古先輩を見ると、面白がっているというよりも苦笑に近い笑みを浮かべていた。やっぱり違うのかな?まあ、役のことはこれから詰めていけばいいわけだから、僕もイメージを固めすぎずにあれこれ探ってみることにしようかな?

・・・休憩時間。上柳さんと役のことについて話したけど、特に他のことは話題に出なかった。あのことを知っているのかな?

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