しばらく国を離れていたせいか、それとも僕には関係ないと思っていたせいか、僕はBlue Ribbon Dayという日を完全に忘れていた。それは、女性が男性に贈り物をする日・・・。昨日は部活のあとに部員からあれこれもらっただけでなく、自宅に帰った後で勝手に送られてきたものをたくさん見る羽目になった。実は、去年までは母以外の人からもらったことがなかったのだから、この展開にはすっかり驚いてしまった。
「希はモテるのね~」
母は笑っていたが、・・・そう、僕にも大切な人がいる。確か陛下は昨日宮殿にいらしたから、僕もいただけるはず?と思って届けられた包みをあれこれ見てみたが、それはなかった。偽名で送ってくるかも?と思って開けてみたが、それらしきものはなかった。となると、この週末に?・・・なのか、それとも・・・最近ほとんど会えていないので、僕のことなど相手にしてくれなくなったのか。しかしこればかりは直接聞くことができない・・・催促しているようで、感じが悪い。
それにしても、一度思い始めたらこんなにも不安になるものだとは知らなかった。本当に慰め合うだけの関係だったのか、僕が何か悪いことをしたのか。
それでも部活はあるので、今日も学校に行く。部長のイメージとはどんなものだろう?とりあえず昨夜も何度か台本を読んでみたのだけど、まだ他の役の人がどんな演技をするのか分からないので何とも言えない。しばらくは様子見といったところだ。
「沢渡、ちょっといいか?」
部活が終わって帰ろうとしたら、兼古先輩が改まった口調で言ってきた。・・・どうしたのだろう?顔もこわばっている。
「少しならいいですけど・・・」
そして先輩はそのまま、僕を隣の空き教室に連れ出す。
「俺は別に沢渡が何者だろうと気にしない、でも情報が自然と集まってきてしまうから、真偽の程を確かめなければならない」
どんな情報が、先輩の耳に届いたのか?でも園田先輩とはあまり親しいわけではないと聞いている。
「これは本当なのか?」
先輩が携帯電話の画面を僕に見せた。
“沢渡希は、江口国王の隠し子かもしれない”