8/24 (月) 23:00 一人

議会で忙しいのだけど、仕事は他にもある。皇太子として、外交官として、そして沢渡くんを始め後進の指導など。息つく間もなくそれらは押し寄せてくるけれど、それはそれ、僕の時間は僕だけのものだ。

議会も半ばを過ぎると、さすがに疲れてくる。とにかく拘束時間が長い。基本的に僕は一つのところにとどまっているのは苦手だ。それに、自分の部屋には帰りたくないと思ってしまう・・・つまり一人になりたくない。違う、正確に言うと、一人で散歩するのは歓迎すべきことなのだけど、一人で部屋にいるのは嫌だ。勉強しなければならないことが山積みの時には仕方がないけれど。

今日は車を途中で降ろしてもらい、港を散歩することにした。こんな時間になれば、そこにいる人たちは周りなど気にしない。夜景を楽しみながらゆっくり散歩するか、カップルで雰囲気を味わっているか。だから誰も僕に気づいたりはしない。

街を歩いたり買い物をしたりするのは好きだし、気づかれても別に構わない。時々握手を求めてくる人がいるが、大体は遠巻きに見ているだけだ。でも、時々は外で一人になりたいと思う。・・・僕に気づかなければいいのにと思う時がある。

地上に星が舞い降りたような美しいライト。幻想的に照らし出された建物、満ちていく月、心地よい夜風。デッキを歩いていくと、桟橋から大きな船が出て行くのが見えた。汽笛を鳴らしながらゆっくりと沖へと進み、向きを変えて橋の下をくぐっていく。・・・僕もいつか、船でゆったりとした旅をしてみたい。いつも時間がなくて、しかも他人に管理されて時間を過ごしている。

僕は時々、流されているだけなのかと思うことがある。自分で何もしなくても、食事は出てくるし乗り物で移動もできる、とにかく身の回りのことには何も困らない。でも、何もできなくなってしまわないように、休みの日には何でも自分でするようにしている。雑用をしてもらえるのは嬉しいけれど、自分自身まで管理されてしまいそうな気がして・・・。

僕は政治家として仕事には精一杯励みたいと思うけれど、自分自身を見失いたくはない。こうして生でいろんなものを見たり、触れたり、感じたりしなければ、生きているとは言えない。

立ち止まり、夜風に身を任せて目を閉じてみる。岸壁に波が打ちつける音が聴こえる・・・。潮の香りがする・・・。疲れも吹き飛んでしまいそうだ。都会にもこんな場所があってよかった。いや・・・、都会こそ公園の整備に努めなければいけないね。

肌寒くなってきたから、そろそろ帰ろうかな?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です