もうすぐ始業式。・・・来週から、私と園田先輩の仲はオープンになる。ドキドキ。そのことを沙紀に言わなければと思って、部活のあとに食事に行くことにした。
「そっか、先輩と順調そうでよかった」
「・・・順調っていうわけじゃないよ、これからって感じかな?まだどうなるか分からない」
「でも、そのピアス似合ってるよ。先輩ってとても趣味がいいのね」
それは私も思う。どんな服にも似合いそうな小ぶりのデザイン・・・小さいダイヤが入った、プラチナのピアス。だって先輩自体とてもおしゃれだもん、任せておいて平気。
「ねえ、私の相談にものってくれる?」
すると今度は、沙紀が控えめに言ってくる。
「どうしたの?」
「・・・朝霧くんって、いいよね」
・・・何だか遠い目になってるよ。・・・となるとそれは、気があるということ?
「朝霧くんってヴァイオリンがとても上手なのよ。酔いしれちゃうとはこのことだよ」
・・・いつの間に。
「朝霧くんがヴァイオリンを弾くだなんて、そんなの初耳だよ。・・・やることしっかりしてるわね」
「そんなんじゃないって。たまたまだよ、たまたま。朝霧くんって彼女いるのかな?」
いなさそうに見えるけど・・・ヴァイオリンを弾いていること自体そうは見えなかったから、私の推測もあてにならないかもしれない。
「そんなに親しいなら、しな~っと聞いてみれば?」
「ヤダ、そんな。恥ずかしい。・・・告白されるなんていいなぁ。だって、主導権を握ってるってことでしょ?」
・・・そんなことない。今は私のほうが付き合ってもらっているという感じだよ。だって昨日は、私の方から告白しちゃったし・・・。
「想いを伝えなきゃ。そうしないと、何も始まらない。・・・頑張って」
「・・・もう、やだな、先輩ヅラしちゃって。・・・でも羨ましがっててもしょうがないから、頑張ってみようかな?」
そうよ。彼氏と呼べる人がいるなんて幸せ。明日からどうなるのかな~、楽しみだけど、また不安でもある。