先週で議会が終わったため、宮殿には一気にリラックスした空気が流れてきた。ただし、殿下だけは別のよう。陛下が一週間お休みを取られることになったので、その間国を守らなければならない。そのために、沢渡も宮殿に借り出されているようだ。
・・・沢渡に相談したいことがある。
勝手知ったる彼の部屋。僕はキッチンでコーヒーを淹れて、ソファーに持っていく。・・・これが相談に対してのお礼みたいなものだ。
「それで、どうした?」
最近見るたびにタフになっていくような気がする。それは、有紗さんとの恋愛が順調なのか、部長からの半ばイジメ的な仕打ちをはねのけているからなのか。・・・何だか頼もしい。・・・あ、それで僕の相談なんだけど、
「沙紀ちゃんって、僕に気があるのかな?」
言った途端に、彼は激しくむせた。・・・気管に入ってしまったみたい。
「ホントに、お前はいつもストレートな表現をしてくれるから好きだ」
沢渡は涙を流して笑っているが、僕は真剣だ。
「ゴメンゴメン。端から見ている感じでも、そうなんじゃないか」
やっぱりそうか・・・。でも、どうしたらいいのかな。
「それで、お前は沙紀ちゃんのことをどう思っているんだ?」
「よく分からない」
はっ?と口を開けて固まってしまう。・・・また、僕の言い方がおかしかったかな。
「だから、相談にのってもらいに来たんだよ。どうしていいんだか、全然分からないんだ」
何もかも・・・。
「ちょっと待てよ。それは難しい相談だな。お前の気持ちがどうかなんて、僕に聞かれても分かるわけないだろ?」
まあ、それは確かに。
「でも、もし告白されたらどうするのか、ということは考えておいたほうがいいんじゃないか?受けるにしろ、断るにしろ、彼女を傷つけないような対応はしないと」
そうだよね・・・。それでなくても、毎日顔を合わせるのが、だんだん気まずくなってきている・・・。