9/16 (水) 13:30 応援?

学食で席に着いたら、

「沙紀ちゃんから、朝霧くんって彼女いるの?って聞かれたよ」

いきなり沢渡が言うから、フォークを取ろうとした手を膝の上に戻す羽目になった。

「何て答えたの?」

「え?素直に、いないみたいだよ、って答えた」

・・・沢渡のプライバシーを必死に守った僕は馬鹿みたいだ。

「でもあとは、朝霧がしたいようにしろよ。僕には別に関係ないし」

あ・・・、絶対楽しんでる。悔しいな、彼女がいることで余裕を見せつけるなんて・・・。

でも僕だって考えているんだ。沙紀ちゃんのことを好きみたいだと思う。もし、僕のことを好きだと言ってくれるなら、それに応えたいという気持ちがある。でもそれはいつなのか・・・。

「沢渡は、告白されたときどうだった?」

「どうだった?って・・・その時の状況を聞きたいわけ?」

・・・そんなの聞いてどうする。

「違うよ、君の気持ちだよ」

確か、特に好きではなかった、と聞いた気がしたから・・・。と思ったら、ふざけていた沢渡の顔が急に真面目になった。

「嬉しかったよ。僕のことを好きになってくれる人がいるなんて、信じられない気持ちだった」

「・・・でも、それから何度も告白されたんだろ?」

「考えてもみろよ。よく知りもしない相手から告白されたって、何て答えたらいいか分からないだろ?」

・・・確かにそうかも。よほど気になる存在でなければ、言われたところで困ってしまうだけだ。

「なあ、食べないの?」

え?・・・あ、ああ。そうだよね、貴重な昼食の時間を無駄に過ごすわけにはいかない。

「僕は合宿のときが危ないと思うな」

と、また、フォークの手が止まるようなことを言う。でも、僕もちょっと意識していたことは事実。

「そうかな?・・・でも本番の前よりは後のほうがいいんじゃないの?」

努めて冷静なフリをして返す。

「どっちにしろ一緒だよ。僕は親友の幸せそうな顔を見たいだけなんだ」

・・・その顔は、何か根回しとかしそうだね。でも、沢渡の手を借りなくても大丈夫ということを証明したい。

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