行き場がなくなってしまった。先輩のほうも、これで終わりにすると思うならそう言えばいいのに、何も言わないから、私も宙ぶらりんなまま。思い切ることも、次に進むことも出来ない。・・・私もつくづく、男を見る目が無かったんだなって思う。
帰り道、沙紀に付き合ってもらった。
「ごめんなさい。沙紀まで振り回しちゃったりして」
「ううん、いいの。この世の中には、まだまだたくさんの男の人がいるから、今度は素敵な彼氏が見つかるといいね」
そうなると嬉しい・・・。でもやっぱり、持つべきものは友達だと思う。彼氏を選んでもしうまく行かなかったら、帰る場所がなくなってしまう。・・・新作の私の役みたいだ。・・・役といえば。
「部活どうしようかな?・・・正直迷ってるのよね」
「みんな、まゆが戻ってきてくれることを望んでいるよ。兼古先輩まで迎えに来てくれるなんて羨ましい。・・・でもまだ、顔を合わせ辛い?」
うん・・・。こんな時に、沢渡くんの顔は見たくないな・・・。
「でも、演技まで嫌いになったわけじゃないよね」
「それはもちろん、そうだけど・・・」
「だったら、朝霧くんとうまくやっていく方法を見つけ出してよ。それを参考にする」
・・・どうしてそうなるのよ。
「お互い好きなんじゃないの?」
「私は好きだけど、彼はそうでもないみたいなのよね。どうしよう」
「どうしようって言われてもね・・・。デートはした?」
「行ってきたよ、遊園地に。でも友達って感じで、彼氏ではないかな?」
・・・う~ん。友達みたいな関係っていうのも、ドラマでは見たことあるけどね。
「ねえ、どうしてほしいのか言ってみればいいじゃない。お互いいい顔をしていてもしょうがないよ」
「そうなんだけど、付き合うのって初めてだからよく分からないの。それは彼のほうも同じみたいで、二人して路頭に迷っちゃうって感じなのよ」
・・・それ、使い方合ってる?
は、ともかく、部活のことどうしようかな?