10/8 (木) 16:30 心配

困ってしまったのは、新作の脚本。昨日からは、試験前で部活が休みになっているのだけど、その間に書き直すべきか、試験が終わったら上柳さんが帰ってきてくれることを期待するべきか・・・。

「まったく、アイツのおかげで、クラスだけでなく部活まで被害を被るなんて、迷惑な話だよ」

このところ祐輔は、上柳さんと園田くんとのことにかかりっきりになっている。もちろん生徒会長の仕事もあるし、もうすぐ試験だというのに。

「でも、もう十分じゃない?このところ園田くんはずっと取り巻きと一緒にいるわ。上柳さんには近づかなくなっているみたい」

「所詮アイツの気まぐれだったってことか?でもそうなると、部活に戻ってきてくれとは言いにくいよな。そんな傷心のところに沢渡と顔を合わせるのは辛いだろう」

ああ、困った、困ったと、頭を抱え込む祐輔。

「でも、それで余計に祐輔が近づくっていうのはどうなのよ?私ももちろん、上柳さんには戻ってきてほしいと思っているけど、祐輔の個人アタックが目立ちすぎているような気がしないでもない・・・」

言うと、祐輔が、あらら・・・という顔をして横目で見てきた。

「そうだよな、部長は美智なんだし、何も俺が行かなくてもいいか・・・」

「でも、祐輔が行ったほうが、戻ってきてくれそうな気はするかも・・・」

ちょっと意地悪を言ってみたら、ゴメン、悪かったよ、と彼はあっさり頭を下げた。

「今のは冗談だけど、祐輔も自分の立場をわきまえなさいよ。生徒会長に就任したてで今話題の人なんだから、その人が一人の後輩の女の子のためにあれこれ奔走しているところが目に付くようになると、それを面白くないと思う子たちも出てくるはず。・・・だからこれからは私に任せて。祐輔は生徒会長の仕事が忙しいってことにしておいて。いいわね」

上柳さんは祐輔に好意を持っているに違いないから、嬉しいと思う。でもそれは、人目につかないところ、例えば部活内だけにしておくべき。私は別に上柳さんに対して嫉妬するつもりはないけれど、変に誤解されるのは嫌。面倒臭い。

「上柳さん、戻ってきてくれるかな?」

祐輔が呟く。

「あなたが戻ってきてほしいと願ってる、と伝えておくわ」

実際のところ、五分五分なんじゃないかと思う・・・。

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