10/15 (木) 23:30 指導

「それで今日のテストの出来は?」

と朝霧に聞いてみる。

「まあまあかな?・・・結城さんからは睨まれそうだけど」

また、そんなこと言って・・・。

「でも、怒られそうではないから、いいんじゃないかな?」

睨まれる・・・は、十分、怒られてる、と思うけど。

そして今日も、僕の部屋で勉強は続く。でも、僕は来月のことでいろいろと資料を渡されていて、それを読むのに必死だ。

「ねえ、ちょっと・・・」

不意に朝霧の声が届いて我に返った。

「あ、ゴメン。邪魔した?」

「いや、別に」

あまりに書類に集中していたせいか、朝霧の存在を忘れていた。

「大丈夫?」

って聞きたいのは僕のほうだよ。昨日も沙紀ちゃんからメールが来て、相談を受けてしまった。女の子が不器用なのはかわいいと思うけど、どちらかがリードしなければ、前に進めない。・・・というのはさておき。

「で、聞きたいのはどれ?」

「ああ、この数学の問題だよ」

なになに?・・・問題文を読んで、解説してあげる。

「沢渡が先生だったら分かりやすいのに・・・」

・・・ウチの数学の先生の教え方も、十分に分かりやすいと思うけど。

「でも、朝霧は質問の仕方がうまいよ。・・・別に数学に限らず、質問するとき、凄くいいところを突いて来るよね。でも君は、所詮受身でしかない。何かが前もってないと動けないところがある。・・・沙紀ちゃんは、君にリードしてもらいたいんだよ。彼女のために何かしてあげたいと思うのが、男じゃないか?」

朝霧は、う~ん、と首を傾げて固まってしまった。

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