10/29 (木) 16:00 撮影現場その4

だんだん部内に緊迫した空気が流れてきたのが分かる。今日は、上柳さんと沙紀ちゃんの掛け合いシーン。

上柳:ねえ、最近、沢渡くんがあまり元気じゃないように見えるんだけど、何か知らない?

沙紀:どうかな?沢渡くんって秘密主義じゃない。確かに最近何かおかしい気はするけど、みんな推測するばかりで聞き出すことは出来ないみたい。

上柳:それは分かるけど・・・、私ね、どうしても朝霧くんのために力になってあげたいの。朝霧くんが沢渡くんのことで凄く悩んでいるから、少しでも情報があったら教えてあげたいなって。

沙紀:でも・・・朝霧くんは沢渡くんの友達でしょ?その朝霧くんに分からないことが、私たちに分かるわけじゃない。心配してるのよっていう姿勢を見せていれば十分なんじゃないの?

上柳:沙紀って結構冷たくない?

沙紀:冷たくなんかないわよ。男同士の友情は固いんだって言うじゃない。私たち女の子は、友達じゃ出来ないことをするしかないんじゃないの?

上柳:でも現に、朝霧くんは悩んでいて見てられないの・・・。

沙紀:だから、そこは話を聞いてあげるとか・・・。

上柳:だって嫌われたくないんだもん。それに・・・、沢渡くんのことを解決しないと、私のことを見てくれない・・・。

沙紀:そんなわけないでしょ。二人を見てると、仲はよさそうじゃない。

上柳:沙紀には彼氏がいないから分からないのよ。私も凄く不安で不安でたまらないのよ。

沙紀:失礼なこと言わないでよ。私はまゆのことが心配だったから、相談に乗ってあげたのに・・・。

上柳:・・・あまり参考になったとは思えないわ。

沙紀:ひどい・・・。何もそこまで言わなくても・・・。

カット。・・・怖すぎる、と思った瞬間に、上柳さんは沙紀ちゃんには目もくれず、すたすたとステージから降りていってしまった。一方の沙紀ちゃんは、今にも泣きそうになっている。

「二人とも凄く良かったわ」

けど、演技はよくても、二人の関係が心配だ。上柳さんはあまりにも感情が昂りすぎてしまったから、クールダウンしにいったのだろう。でも沙紀ちゃんは・・・。

そして沙紀ちゃんもまた、反対側のドアから外に出て行ってしまった。

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