10/30 (金) 1:00 作戦会議

その後、部室はかなり険悪なムードになってしまった。

「3年が引退した後は、仲良くできるはずじゃなかったのかよ」

“そんなこと言われても、私が脚本を書いたときには、こんなことになるなんて思いもよらなかったから・・・”

そうだよな、美智を責めてもしょうがない。俺にとっても予想外のことだった。今俺たちは崩壊しかかっている演劇部を、再びまとめる方法を考えなければならない。それで深夜の長電話になっているのだ。

「みんな役に入りすぎてるってだけじゃないかな?この撮影が終わって次の作品に取り掛かれば、何事もなかったかのように元に戻るとか?」

“確かに次の作品では、こんないざこざは起こらないと思う。・・・今回、同じ高校生で、そのまま名前を使ってもらったのがいけなかったのかしら?”

「どうやらそうみたいだな。何もかもがうまく行かなかったというか、たまたまそういうよくないことが立て続けに起こってしまった。・・・不運だっただけだよ。でも起こってしまったことはしょうがない、これからどうするかだよ。とりあえず土曜の夜に、みんなで食事に行こうか」

“確か、沢渡くんは土曜の夜は都合が悪いと言っていたわ”

そうか。それだけでなく、来月2週間ほど学校を休むとも言っていたな。

「でも逆に、沢渡がいないほうがうまく収まるかもしれない。沙紀ちゃんまで、沢渡に執着しているような気がしないか?」

“そうね。・・・沢渡くんって、意外と不器用よね。本当はみんなに優しくしたいんだと思うんだけど、本人の意思とは別に、周りが妙に意識した上で近づいてくるものだから、彼もどうしていいのか分からないんじゃないのかな?・・・それにしても罪作りよね。あんな美貌を目の前にして、普通に振る舞いなさいなんて言われても無理だもん。しかも本人は、自分の美貌に対して特に意識していないみたいだし”

・・・おいおい、美智も惑わされている一人なのか?・・・という俺も、あまり他人のことは言えないけど。

「じゃあ、沢渡抜きで話をしてみようか。それで収まればいいし、そうでなければまた考えよう」

“そういうことね”

でも一番困っているのはアイツっぽいから、アイツのフォローもしてやらないとな。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です