部長は週末の間にビデオの編集をしてくださり、今日はその上映会となった。・・・けど観るのが怖い。僕としても、どうしてあんなことになってしまったのか分からない。兼古先輩との掛け合いが多かったのは嬉しかったけれど、それ以上にマイナスのイメージが多かった。
でも意外と客観的に観られたので驚いた。僕の役的には日常からかけ離れたものだったので問題ないし、僕たちがいがみ合っていたのも少し前のことのように思えたし・・・。でも今後、敢えてこのネタに触れようとは思わないだろうけど。
そして配られた次なる台本は、陪審員を主人公にした名作舞台をアレンジしたものだった。これだったら、みんな大人の振る舞いが出来るのではないだろうか。
部活が終わり帰ろうとした時に、上柳さんから声をかけられた。
「今日ちょっと時間ある?」
残念ながら、今日は用事があって・・・。
「いいの、急に言った私が悪かったのよ。また今度にするわ」
じゃあね、と手を振っていく彼女。・・・どうかしたのかな?様子が変だ。
それでも仕方ないので、宮殿に帰る。・・・今夜は殿下と食事させていただくことになっているので、着替えて、街へと出る。
「一緒に外で食べるのって久し振りだね」
はい・・・光栄です。
「会ってもらいたい人がいるんだ」
僕などを紹介していただけるんですか?
「彼は僕の友人でカメラマンなんだけど、いい被写体を探していてね。沢渡くんのことを話してみたら、気に入ってくれたんだよ」
モデルですか?
「鷲塚です。殿下からの話通り、被写体にはもってこいですね。・・・ぜひ写真を撮らせてください」
殿下?
「彼がそう言っているんだから、撮ってもらったらどう?」
・・・しかし何故この忙しい時期に?でも殿下からお願いされては断れない。素人だけどいいのでしょうか?