部活が終わり朝霧と玄関に向かおうとしたら、園田先輩とバッタリ会った。・・・いや一人ではなかった。女の子が一緒にいた。・・・一年生だ。
一応相手が先輩なので会釈をして去っていこうとすると、その女の子が僕に対してバイバイと手を振った。・・・本人的には無意識にやったことだと思う。でも先輩には面白くなかったらしい。
「沢渡」
…何ですか、もう。振り返らなければならなくなる。
「はい」
「僕の前に姿を現さないでくれるかな?この疫病神が」
はぁ?どうして面と向かってそういうことを言うんですか。しかも、女の子の前で。
「ですが、僕もクリウスの学生ですから、やむを得ず会うこともあるかと思われます」
「来るなって言ってんだよ」
「それはどういう・・・」
「ふざけるな。お前の顔を見ていると虫唾が走るんだよ。お前さえいなければ、こんなことには・・・」
「やめてください」
僕は胸倉をつかんでいた手を振り解いた。
「言いがかりはやめてください。・・・彼女が困っているじゃないですか」
「別にそんな子なんてどうでもいいんだ。気休めにしか過ぎないからな」
何てことを・・・。すると女の子は泣きながら、走って逃げていってしまった。かわいそうに・・・、僕も追いかけようとする。
「待てよ。話はまだ終わっていないんだよ」
何なんですか、一体、と思っている隙に、鳩尾に一撃を食らった。・・・僕としたことが油断していた。思わず片膝をついてしまう。
「今度その顔を見せたら、どうなるか分からないぞ」
そしてニヤリと笑って、玄関のほうに去っていった。
「沢渡、大丈夫か?」
朝霧が僕の肩を担ごうとする。・・・効いた。こういう時の手加減を知らないから、素人は困る。
そして程なくして、加藤が走って現れた。