11/5 (木) 14:00 周囲からの視線

昨日、上柳さんはあの現場の近くにいたらしく、すぐに駆けつけて泣いてくれた。

「別に上柳さんのせいじゃないから、気にしないで」

一応はにこやかにそう言っておいたけれど、実際身体は痛く、また、精神的ショックも大きかった。

「何やってんだ、お前は」

とまたしても結城に怒られ、そして加藤も、武術の教え方が悪いんじゃないかと怒られていた。・・・違うって、加藤のせいなんかじゃない。先輩相手に揉め事を起こしたらどうなるか分からないから、受身でいただけだ。

それだけに、学校に行かないわけにはいかなかった。そのまま引き下がっては男が廃る。

「沢渡、大丈夫か?」

上柳さんから聞いたのか、部長と兼古先輩が朝玄関で待っていてくれた。

「大したことありません。心配してくれてありがとうございます」

「沢渡、どうしてほしい?」

はい?・・・聞き方が物騒じゃないですか?

「俺は生徒会長だ、何だって出来るぞ」

その権限をこんなことに使っていいんですか?

「いえ、これは僕の問題ですから、先輩は黙って見ていてください」

「そうはいくか。教室に行けば、否が応でもアイツの顔を見る羽目になるだろう?どうしたらいいんだ?」

「別にどうもしなくていいですよ。強いて言うなら、そっとしておいてください」

でも・・・、と先輩は引き下がろうとしたが、予鈴を告げるベルが鳴ったので教室に行ってくれた。

僕は別に、気にしていなかった。でもクリウスの噂は早く広まるもので、昼休みには、会う人会う人から好奇の目で見られるようになっていた。・・・となると余計に、手を出さなくて正解だった。少なくとも、僕のほうが被害者であることははっきりしているわけだから。

そんな折も折、今度は望月先輩と会ってしまった。

「今度は顔じゃなくてよかったな」

・・・それは言えています。結城も、前よりは冷静だった。

「でも、お前を殴りたくなるヤツはこれからも出てくるだろう。だから、気をつけろよな」

ハハハ・・・、という高らかな笑いと共に、先輩は去っていった。・・・何がそんなにおかしいんですか。僕が一体何をしたって言うんですか。・・・どうも納得できない。

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