明日から僕は二週間学校を休む。この間から話しかけようとしてくれていたことが気になって、上柳さんに電話をかけてみた。
「このところ忙しくてごめんね、何か用があった?」
うん・・・、と言葉を濁す彼女。だったら声をかけるのにも勇気が要ったはずだから、悪いことしたかな?
“もう身体は大丈夫?・・・沢渡くんってケンカは強いはずだから、あんなことになるとは思わなくて”
「大丈夫。撃たれ慣れているから。それに先輩相手には手を出さないよ」
“本当は・・・一発くらい殴ってほしかった。・・・本当に最低な人よね”
上柳さん・・・。それを僕に期待していたというわけ?・・・そうだよね、僕は自分のことしか考えていなかった。上柳さんとしては、先輩のことが許せないんだね。本当は仕返しをしたいんだね。
“ねえ、どうして二週間もお休みなの?”
いきなり話題が変わった。
「ちょっと用事があって」
“国外に出ちゃうの?”
本当は、みっちり予算案を作成することになっているのだけど、途中で仕事の邪魔をされると困るから、周りには、旅に出ます、と言っていた。でも彼女には本当のことを言いたいと思った。
「忙しいのは確かだけど国内にいるから、何かあったら連絡してくれていいよ。会う時間を作れないことはないと思う」
“そうなの?・・・じゃあ、会ってくれない?・・・時間が出来たらでいいから”
「うん・・・。まだどうなるか予想がつかないから何とも言えないけど、できるだけ時間を作るようにするよ」
たまには息抜きだって必要だろう・・・けど、これってデートするってこと?・・・いや違う。どうしてこんなにとんとん拍子に話を進めているんだ?・・・でも、まあ、いいか。
「・・・用って、そのことだったの?」
・・・ふと気になって、僕は聞いてみた。
“え?・・・あ、ううん。みんなに迷惑をかけたことをちゃんと謝らなきゃと思って。・・・私、どうかしてたの。本当にごめんなさい”
やっぱり、役に惑わされていたということかな?これで一段落、か。