11/8 (日) 22:00 用件

明日から僕は二週間学校を休む。この間から話しかけようとしてくれていたことが気になって、上柳さんに電話をかけてみた。

「このところ忙しくてごめんね、何か用があった?」

うん・・・、と言葉を濁す彼女。だったら声をかけるのにも勇気が要ったはずだから、悪いことしたかな?

“もう身体は大丈夫?・・・沢渡くんってケンカは強いはずだから、あんなことになるとは思わなくて”

「大丈夫。撃たれ慣れているから。それに先輩相手には手を出さないよ」

“本当は・・・一発くらい殴ってほしかった。・・・本当に最低な人よね”

上柳さん・・・。それを僕に期待していたというわけ?・・・そうだよね、僕は自分のことしか考えていなかった。上柳さんとしては、先輩のことが許せないんだね。本当は仕返しをしたいんだね。

“ねえ、どうして二週間もお休みなの?”

いきなり話題が変わった。

「ちょっと用事があって」

“国外に出ちゃうの?”

本当は、みっちり予算案を作成することになっているのだけど、途中で仕事の邪魔をされると困るから、周りには、旅に出ます、と言っていた。でも彼女には本当のことを言いたいと思った。

「忙しいのは確かだけど国内にいるから、何かあったら連絡してくれていいよ。会う時間を作れないことはないと思う」

“そうなの?・・・じゃあ、会ってくれない?・・・時間が出来たらでいいから”

「うん・・・。まだどうなるか予想がつかないから何とも言えないけど、できるだけ時間を作るようにするよ」

たまには息抜きだって必要だろう・・・けど、これってデートするってこと?・・・いや違う。どうしてこんなにとんとん拍子に話を進めているんだ?・・・でも、まあ、いいか。

「・・・用って、そのことだったの?」

・・・ふと気になって、僕は聞いてみた。

“え?・・・あ、ううん。みんなに迷惑をかけたことをちゃんと謝らなきゃと思って。・・・私、どうかしてたの。本当にごめんなさい”

やっぱり、役に惑わされていたということかな?これで一段落、か。

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