沢渡くんがいないと、学校がつまらない・・・。自分でもこれほど凹むとは思わなかったので、やっぱり沢渡くんのことが好きなのかな?と思う。
「まゆ・・・分かりやす過ぎるよ。授業中、沢渡くんの席を見てるでしょ」
え~、そうかな?
「沢渡くん、どうしてるのかな?・・・だって、二週間ってことはPink Ribbon Dayのときも休みってことでしょ。・・・本当は大事な人と旅行してるんじゃないかな?とか思ったら、たまらなくなるわ」
・・・考えすぎだよ、と沙紀が横目で睨んでくる。
「分かったよ、もう。素直に白状する。・・・私は最初から今までずっと、沢渡くんのことが好きなのよ。この気持ちはどうすることも出来ない、でもどうしたって叶えられることもない・・・」
はぁ~、と彼のことを思うだけでためいきが出てしまう。時間を作って会ってくれるみたいだけど、本当に何か大変そうだった。こんな時に邪魔をしてしまったら、もっと嫌われてしまう。
「叶えられない恋は辛いよ・・・。もっと違う人を好きになればいいのに」
「そんなに割り切って考えられないって。彼以上の王子さまがいると思う?」
「・・・でも、カッコイイと思う人と、実際に付き合うのにいい人は違うって言うじゃない」
「じゃあ、沙紀は沢渡くんの嫌な面を見たことがある?」
・・・ほら、ないでしょ。困ってる、困ってる。あんな人を見ちゃったら、他の人は目に入らないって。
「私はもう誤魔化すのをやめようと思うの。そんなことをしても、自分が傷つくだけだもん。好きでもない人と付き合うのはやめる」
「・・・そう、分かった。もう好きにしなさいよ。気が済むまで、沢渡くんのことを好きでいたら?でももしまたフラれたらどうするのよ。そのほうが傷つかない?」
う~ん、そうかもしれない。
「もう告白はしない。沢渡くんに近づけるなら友達でいい」
「言い切ったわね。・・・私は応援できないけど、自分の気持ちに正直になれるっていうのはいいことだよ。・・・でも二週間、毎日、その話をするのはやめてよ。私まで凹みそうになるから」
どうして沙紀まで?
「好きな人が出来たみたいなの・・・」
誰?