「ごめんなさい。まさか寝ているとは思わなかったから」
・・・それは僕も同じだった。いくら休みとは言え、昼の1時まで寝ていたとは我ながら驚いた。しかも、寝起きの最悪な声を聞かせてしまい、恥ずかしいことこの上ない。
「疲れていたみたい。・・・気にしないで」
そして僕たちは、とある海沿いのカフェに来ていた。・・・僕にとっては久々の外出だ。
「部活は順調よ。早く沢渡くんにも入ってもらいたい」
そうだね。・・・でもこのところ台本を読んでないな。大丈夫かな?
「ところで、兼古先輩はどんな様子?」
「先輩自身は停学にはならなかったけど、注意を受けたみたい。・・できれば思い出したくないけど、・・・園田先輩って、以前はそこまでひどい人ではなかったと思うのよ。・・・私のせいなのね、きっと」
彼女は思いつめた様子でうつむく。
「君にした仕打ちのことを考えれば、当然の報いだよ」
「そうだけど!・・・そうなんだけど、私も園田先輩にひどいことをしちゃったのかな?って考えると、いたたまれない気持ちになるのよ。私のことを好きで、凄く優しくしてくれたのに、・・・私は気を紛らわすために付き合っていたのよ。・・・ひどい話だわ」
・・・うまくいくことを願っていた僕も同罪か?・・・つまりそれは、僕が上柳さんをフッてしまったからで。・・・やっぱり今日は来なければよかったかもしれない。
「上柳さんが気にすることないよ。今は部活に集中しよう。前回いろいろ迷惑をかけてしまったから」
「だったら、沢渡くんも来てよ。・・・二週間も何をしているのよ」
「それは・・・、いつかその時が来たら話すよ。僕だって結構大変なんだ」
「じゃあ今だけ、お互い大変なことは忘れよう。・・・外に出よう」
・・・結構寒いよ。外は陽が落ちてきたし、海風も吹き荒れている。・・・でもこれも、自分がしたことへの報いかな?
彼女は僕の腕に自分の腕を絡めてきた。このくらいはしょうがないか。でもだんだん震えが伝わってきて・・・、僕は肩を抱いてあげることにした。少しでも罪の意識が消えるように。