11/21 (土) 23:30 手

予算案の作成は予定のところまで進み、散会となった。何とか無事に終わってよかった。今夜はゆっくり過ごしたい・・・。

そして向かったのはセカンドハウス。Pink Ribbon Dayがあったのに、忙しくてまだ渡せていなかった、けど、彼女の家に行くほどの元気は残っていない。

「お疲れさま。久しぶりね」

「そうだね、前に会ってから、10カ国は回ったかな?」

「別に、そのたびにお土産を買ってきてくれなくてもいいわよ」

「え?そうなの?・・・ちゃんと行く先々で買ってきたのになあ」

寂しげに彼女のことを見てみる、・・・と、彼女も寂しげな表情になってくれる。・・・でも僕の負けだ。

「冗談だよ。お土産話をするだけじゃなくて、少しでも一緒に雰囲気を味わえたらと思って」

「うん・・・」

「・・・ごめん、少し遅れたけど、Pink Ribbon Dayのプレゼント」

待ってましたとばかりに、彼女はリボンを解き包みを開ける。

「これから寒くなるから、風邪をひかないように」

「・・・っていうか、やっぱり私の手って冷たい?」

本人も自覚はあるみたい。毎年気になるのが彼女の手の冷たさ。手が冷たい人は心が温かいなどと言うけれど、血が通っている感じがしなくてあまり好きではない。だから少しでも・・・と思って、今年は手袋にした。

「額に当てるには最適な手だけど・・・冷たいよ」

「このところ冷え性なのよ」

「何言ってるんだよ。一緒にいるときは僕が温めてあげる・・・けど、今年の冬はこれで乗り切って」

「ありがとう・・・」

彼女が僕の頬に手を当てる・・・まだ冷たい。

「ダメ、くっつけないで。ほら、僕の部屋に行くよ」

僕は彼女をつれて自室に戻ることにした。・・・ゆっくりお風呂に入ってあったまろう。今夜は仕事のことは忘れて、二人だけのときを過ごしたいんだよ。

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