そういえば兼古先輩ともこのところ話をしていなかったので、一緒に昼食を取ることになった。もれなく、清水先輩、朝霧もいる。
「最近変わったことはないか?」
と心配しているのは先輩のほうだった。・・・園田先輩とのその後をまだ聞いていないのに。
「こんなことを俺が言うと本当はマズイのだけど、俺は完全に園田家から睨まれているらしい。でもたかが子ども同士のケンカじゃないか、何も親が出てくることはないんだよ」
そんな事態になっていたんですか!
「でも、ウチの親父ははっきり言い切った。“私は何もしない”って。・・・それが嬉しかったよ、だって俺に任せてくれてるってことだからな。・・・とは言え、何も出来ないのが悔しいんだけど」
・・・その点、僕の場合、実家自体が相手にされていないのだと思う。いいんだか、悪いんだか。
「アイツな、部活も辞めたらしい。クビになったのか自分から辞めたのか、その辺りはよく分からないけど、よくない方向に進んでるんじゃないかって気がする。そのエネルギーの発散場が学校っていうのはやめにしてほしいよな。・・・大丈夫だとは思うけど、手は出すな。アイツのせいで停学になんかなったら、バカバカしいぞ」
僕もそう思うけれど、上柳さんは一発殴ってやりたいと言っていた。・・・でも、園田先輩も上柳さんと同じ立場だからなあ、恋が実らないなんて悲しい。・・・そうさせているのは僕なのだけど。
「ところでお前、最近上柳さんと仲良くしているそうじゃないか」
またそんな。急なネタ振りですね。
「友達として相談に乗ってあげているだけですけどね」
へえ~と、興味深げに清水先輩と顔を見合わせている。
「変な気を持たせるなよ。親切心が仇になることもあるから」
「そこまで心配していただかなくても、大丈夫です」
「そうかあ?・・・それか、いっそのこと付き合っちゃえよ」
何言ってるんですか!
「お前、Pink Ribbon Dayは?」
「ちゃんと渡しましたよ」
「何を?」
・・・それはちょっと言えませんけど。