昨日の夜、妹から電話がかかってきた。
“お義母さんのお兄さんが亡くなったそうなの。明日お別れ会があるんだけど、どうする?”
明日の予定は・・・。
“忙しかったらいいよ。一応伝えておこうと思っただけだから”
「ありがとう。都合がついたら行くよ」
とは言っておいたのだけど、こうして家族について考えることが重なっていたから、顔だけでも出しておくことにした。
「お忙しいのに申し訳ありません」
僕が皇太子になってからは、いつも敬語で接してくる。でもだからと言って僕も、敬語を使わなくてもいいですよ、とは言わない。
「まだお若いのに・・・残念です」
聞いた話によると、突然死だったそうだ。そういうこともあるんだね・・・。
「貴久、来てくれたのか」
すると、父と妹が現れた。
「でも、悪いけど、仕事があるからもう行かなければならないんだ」
「それなのにわざわざ来てくれたのか、ありがとう」
ううん、別に家族だったらこのくらい当然のことだよ。・・・そこへ、年の離れた弟が飛びかかってきた。
「お兄ちゃん、久しぶり」
・・・気持ちは分かるけど、今はお別れ会の最中だよ。静かにしようね。
「どうして?お兄ちゃんもっと遊ぼうよ」
僕は彼の高さまでかがんで、目を合わせる。
「今、お母さんは悲しんでいるんだよ。・・・考えてみなさい、例えば僕が死んだら君は悲しんでくれるかな?」
「嫌だそんなの絶対!どこにも行かないで!」
「そのくらいの気持ちをお母さんも感じているんだよ。だから今は、お母さんの側にいて励ましてあげなさい」
「うん、分かった」
彼はおとなしくお母さんの隣に納まった。・・・かわいらしい光景だ。そろそろ行かなくては。