平日を休みにした分、週末は仕事があれこれ入っている。しかも出張つき。
竹内にマッサージしてもらいながら、僕の状況について考える・・・。
「僕が一番一緒にいるのって竹内だよね。・・・これが結婚したところで変わると思う?」
また殿下はそのようなことをおっしゃって・・・、と竹内は呆れた様子でため息をつく、のが聞こえた。
「確かに、私といる時間は長いと思いますが・・・、寝る時間も含めたら、舞さんと一緒にいる時間のほうが長いのではないでしょうか」
今度は僕が呆れる番だ。
「またそうやって僕を何とか寝かしつけようとする・・・」
「別にそうではありません。単なる一般論ですよ」
本当か?・・・でも、考えてみたら、竹内とは仕事以上の付き合いだ。沢渡くんに限らず、側近は僕にとっても家族と言っていい。竹内に何かあったら、何もかもが滞ってしまうだろう。
そうだ、沢渡くんにとって結城がお父さん、加藤がお母さん、僕が兄貴だったら、僕にとってはどうだろう?
「結城は兄貴かな、やっぱり」
「何ですか、殿下。またいきなり」
僕はいきなり何かを言うのが得意らしい。・・・竹内によく言われる。
「沢渡くんは弟だよね、間違いなく。・・・問題は竹内だよね」
「私も殿下の家族に入れていただけるのですか?」
「それはもちろん、だけど・・・適当な役が見つからないね」
お父さんともお母さんとも違う。・・・おじいちゃん、おばあちゃんでもない。
「強いて言うなら、竹内は飼い主で、僕はそのペットかな?時には忠実な犬みたいに、時々は気まぐれな猫みたいに、でも結局は竹内が飼い主であることに違いがない」
「でもそうなると、結城さんや沢渡さんもペットということになってしまいます。それは遠慮させてください」
そう来たか。竹内の発想は面白い。
でも僕は、沢渡くんのことを子ども扱いしすぎているのかもしれない。家族は新しく作ればいい。居心地がいい場所というのが家族だ。だったら、何も無理に血のつながりを大事にしすぎることもないのかと思う。大事なのはこれからだ。