12/12 (土) 16:00 権力争い!?

3日も休めば十分だ。

とはいえ無理は禁物なので、書類の整理くらいだけど。

「何やってるんだよ」

そこへ響が入ってきて、机の前に立ちはだかった。

「まだドクターから許可が出たわけではないそうじゃないか。部屋に戻りなさい」

「心配してくれてありがとう。もう大丈夫だから」

にこやかに、そして丁寧に返事をすると、響は机にバンと手をつき・・・咳き込んだ。

「結城に近づいただけでこれだよ。ウイルスを撒き散らさないでくれる?」

・・・おいおい、こんなところでコントをやっている場合かよ。

「だったら、入ってこなければいいだろ。ここは俺の執務室だ」

「そういうわけにはいかない。僕のほうが権限が強いんだからね。・・・これは命令です」

「芝居なら沢渡とやってくれ。俺が大丈夫って言ってるんだから、大丈夫なんだよ。・・・別に外出したりするわけじゃないし、疲れたらソファーで横になるから」

「今後ひどくなっても、お見舞いには行かないよ」

「お前だって、不眠症のことを心配してやってるのに、いつも、大丈夫、って言うじゃないか。お前のほうこそ、権限があるんだったらまずは自分の健康について考えろよ」

響が固まった・・・言い過ぎたかな。

ところが響は急に笑顔になって、俺の額に手を当てた。

「よかった。すっかり元気になったみたいで」

は?・・・試したのか?俺を。

「声も問題ないし、いつもみたいに殺気立ってくれたし、・・・頭は痛くない?」

・・・お前怖すぎ。

「ほら~、心配じゃない。結城がいてくれないと仕事がどうなるか。だから、万全を期してから復帰してもらいたかったんだよ」

そうか、それはありがとう。・・・俺は、今貴重なエネルギーをたくさん使ってしまった気がするよ。

「ねえ、僕も沢渡くんみたいに役者になれるかな?」

あのな、芝居ならきっと、俺のほうがうまいぞ。

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