12/15 (火) 11:30 はずみ

一日目は無事に終了・・・と思いきや、

「もうすぐ沢渡くんの誕生日なんだって?」

と上柳さんが言い出したから、また複雑な心境になってしまった。・・・すると、たかが玄関まで一緒に歩くだけなのに、妙に周囲から見られているような気になってしまう。

「うん、でも別に特別なことはしないよ」

「ウソ~。・・・それは彼女とゆっくり過ごしたいからだよね」

・・・その一言に、何かが弾けた。

「ねえ、僕に何を言わせたいわけ?」

すると、彼女の顔から、血の気が引いていくのが分かった。

「別にそんなつもりじゃないのよ。ただ、一般論的に・・・」

「僕は、他人を詮索するような人間は好きじゃない。君と、友達以上の付き合いをするつもりはないから」

言ってしまった。・・・しかしもう遅い。このまま立ち去るのみだ。

「あんなことを言ってしまって大丈夫?」

車に乗り込んでから、朝霧が心配そうに聞いてきた。・・・よくないだろうね。言葉がどうこうじゃない、公共の廊下という場所が悪かった。周りの女の子たちはビックリしたような目で見ていたし、男子たちも好奇の目を投げかけてきた。何だかんだ言って、また僕はネタを提供してしまったみたいだ。

でも、今更上柳さんに謝ってもしょうがない。いい機会だった、と思うことにしなければ。

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