12/17 (木) 12:00 プレゼント

僕は昨夜のうちに決心を固めていた。誰からも何ももらわない、と。でもそう思ったからなのかどうなのか?誰からも声をかけられないまま放課後になってしまい、もうこのままさっさと帰ることにした。

「朝霧、早く帰ろう」

「沢渡くん!」

よし、と思ったのも束の間、クラスの女子に呼び止められた。

「今日、お誕生日なんだって?・・・おめでとう」

と差し出されたのは、手作り風の小さな箱。・・・このくらいだったらいいかな?でも、公平を期するためにはすべて断らないと。

「ありがとう。でも、気持ちだけ受け取っておくよ。それで十分だから」

そんな~、との声が上がる間に、次の女の子がやってきた。

「別に深い意味はないの。単純にお祝いの気持ちだけだから、もらってくれてもいいじゃない」

そう言われても・・・。

「ね、いいでしょ」

そして、勝手に袋を持たされていた。・・・そうなると、1個もたくさんも同じだ。次から次へと女の子がやってきて、両手に大荷物。

更に玄関まで行く間に、朝霧まで両手に荷物になってしまい、上級生からも大いに視線を集めてしまった。・・・またしてもネタを提供してしまったみたい。

「沢渡」

うわっ。・・・こんな時に兼古先輩。

「こんにちは」

「凄いな、それ。実は毒針とか毒薬が仕込まれていたりして?」

怖いこと言わないでくださいよ。・・・でも、ひょいと朝霧の荷物を持ってくれたのはさすが。さっきから気になってしょうがなかったんだ。そして車のところまで送ってくれた。

「俺からのプレゼントはこれ」

…観葉植物?先輩ってこんな趣味でしたっけ?受け取って車に乗り込む。

「沢渡さん、凄いですね、それ」

「お菓子はみんなで食べてくれる?」

仕官のみなさんへの差し入れにしよう。

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