12/27 (日) 3:00 愛は惜しみなく・・・

「ねえ、また悩み事?」

どうして僕は役者になりきれないんだろう。・・・実は向いていないのかな?でもこのままでは悔しい。

「部屋の間取りとインテリアで悩んでいるんですよ。何かリクエストはありますか?・・・というか、有紗さんの部屋を見せていただきたいんですけど」

「それはダメね」

・・・速攻却下ですか。

「でもリクエストはあるわ。あまり生活感がないほうがいい。・・・希も、そういうのが好きでしょ?」

そうですけど・・・どうして?

「そのほうが、ドラマティックじゃない?私たちは特別という感じで」

・・・それは、今でも感じていますよ。陛下の娘との秘密のデート。・・・それを、僕のほうももっと演出してあげなければならないということかな?

「だって、希は今に出世するわけだから、そうなると立場も変わってしまうのよ。私はしがない秘書、でもあなたは国王陛下」

そんなの、随分先のことです。僕のほうが付き合っていただいているんですよ。

「有紗さんは辛い恋をしたことがありますか?」

「辛い恋?」

「叶わない恋・・・とか」

そうね~、と首を傾げる。

「叶わない恋ほど燃えるものよ。何とかして振り向かせたい、と思ってしまうの。・・・所詮無理なのにね」

「有紗さんでも?」

「希は思われるほうだから、分からないでしょうけどね」

「そんなことありません。今の僕は、有紗さんに嫌われないように、精一杯愛を捧げているところです」

嫌われないように?と有紗さんが聞き返した。

「希は、私のことを好きではないの?」

いえ、そんなわけは!・・・すると有紗さんは半ば呆れたように僕を見た。

「私は希の気持ちが分かるけど、政治家は言葉を慎重に選ぶべきよ。誤解を招くような発言はいけないわ」

・・・またやってしまった。

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