12/28 (月) 23:30 部屋チェックその3

そして今日は朝霧の部屋へ・・・。

朝霧の部屋には専用のターボリフトの出入り口がないので、一般通路を少し歩いて彼の部屋に行く。そこは広めのワンルーム。

「僕の部屋に来たって、見るところがないよ」

家具は部屋の周囲に配置されていて、真ん中にはややスペースがある。そこが彼の練習場所。折角なので一曲聴かせてもらうことにした。

彼の部屋は、特にインテリアについて気を配っているわけではなく、もともと作りつけの家具をそのまま使っているに過ぎない。でも僕は、この部屋に来るのが好きだ。というのは、何故か落ち着く感じがするから。

「それはきっと、仕事の香りがしないからじゃないかな?逆に僕が沢渡の部屋に行くと、難しそうな書類や本がたくさん置いてあるから、うわ!って思うよ。沢渡も、仕事を忘れたくなることがあるよね?」

そうだよね・・・。だからこそ、出来るだけ収納して、生活感のない部屋にしたほうがいいのかな?それから、朝霧の言葉で思い出したけど、香り・・・。今まで訪れた部屋の中では、結城の部屋が一番いい香りがする。・・・子どものときにいつもその香りに包まれていたせいか、それが落ち着く。

朝霧の部屋は他に、簡易キッチン、バス、トイレ、と、ただ物があるという感じ。時々小さな物の置き場所が変わっている以外は、模様替えのしようもない部屋。・・・大事なのは居心地がいいこと、だよね。

・・・もだけど、今日ここに来たのにはもう一つ理由があって。明日はダンスの発表会。うまくいくのかな?そしてそのあとには、打ち上げと称するお別れ会がある。

「強がっているけど、やっぱりナーバスにならずにはいられない。・・・いい別れ方ができるかな?」

僕は、片思いをしたことがなければ、別れたこともない。・・・あ、朝霧に例のことを思い出させてしまうかも。

「ここまで来たら、上柳さんのペースに任せてしまえば?沢渡はよくやっていると思うよ。今回のダンスは、見ているこっちが恥ずかしくなるほど、強烈な印象を残してくれるみたいだし」

・・・やっているほうは、ただただ一生懸命なだけだけど。

「これも勉強なんじゃないかな?沢渡が経験したことのないことを、僕が語れるわけないし。・・・どうなったか教えてよ」

そう言われてもね・・・、じゃあ、もう1曲聴かせてもらおう。

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