新郎新婦とも僕たちの同級生だから、本当に仲間内の集まり・・・のはずだったのだけど、何故かあの女性が来ていた。聞いてみると、新婦が留学していたときにお世話になったとのこと。
「こんな偶然があっていいのかしら?」
僕だって信じられない。
仕官に調べさせたところによると、男性がやってきたのは事実だということ。でも彼氏という感じではない・・・と。そして今日は一人でやってきて、男性のほうはそのままホテルにとどまっている、と。そしてもう一つ驚いたのは、彼女が見事にドレスアップしているということ。見違えるように美しい。
「またお会いしましたね」
「こんにちは」
・・・モーリスから返事はなく、これまた仕官情報によると、母国に帰ってしまったとのこと。彼のためにもう少し情報を集めておきたい気もするけれど、またしても彼女の方から話しかけられたとなると、何だか怪しい。挨拶をしたあとは、舞や同級生たちと一緒にいることにした。
式はパーティー形式で、気取らないものだった。何せ気心知れた仲間たちだから、司会を務める友人の一人が適当に(?)挨拶を求めたり、昔話をしてみたり、みんなで歌を歌ったり、ゲームをしたりと、ごく普通のことをしながら時間を過ごした。・・・それだけに、彼女がいるのが不思議だった。誰かと話すでもなく、ただ拍手をしているだけ。・・・気になって気になって仕方なかった。
舞は新婦の衣装にすっかり見入ってしまっていたので、やっぱり女の子にとって結婚式というのは大事な儀式なのだということを、実感せずにはいられなかった。・・・舞にはどんなドレスが似合うかな?そう、どうせ僕などおまけだ。だから精一杯、彼女を演出してあげたい。
式終了後、僕は新郎に彼女のことを聞いた。
「俺も何度かお会いしただけなんだけど、彼女が来てもらいたいって言うから、了承したんだ」
「どんな感じの人?」
どんなって・・・、と彼は少し躊躇ったようだった。
「あの人、占いをするんだよ。それで俺たちも占ってもらったら、いいカードが出たんだ」
物理を勉強している人が、占い?・・・科学と非科学、それで世の中のことを説明しようとしているのか。
「響も占ってもらったらどう?」
・・・いや、僕は占いを信じないから。