1/15 (金) 13:30 モテる男!?

「沢渡くん、ちょっと話があるんだけど・・・」

何やら思いつめた表情で、部長が僕に話しかけてくる。・・・昼食すらも一緒にとらないんですね。

今、学食。朝霧と一緒にいたところに、部長が自分のプレートを持ってやってきた。ほら、言わんこっちゃない。

「祐輔は一体どうなっちゃってるの?何か言ってない?」

もう、兼古先輩。僕とデートするのはいいですけど、事情をきちんと話してからにしてくださいよね。

「僕の口からは言えません。・・・ほら現に今も、兼古先輩がずっとこっちを見ていますよ」

部長が僕の視線の先を追うと、兼古先輩はにこやかに手を振っていた。

「何なのよ、あれは・・・」

・・・部長がかわいそう。

「兼古先輩は変化を求めているんですよ。別に部長のことが嫌いになったわけでも何でもなくて、生徒会長としての役割を考えたら、いろんな人と接するのが得策だと考えたんだそうです」

「そんなこと、私には全然言わなかった・・・」

でも、僕は僕なりに、先輩のことを見ていて気になっていたことがある。

「部長はちゃんと、兼古先輩の話を聞いてあげていますか?」

えっ?と、それはそれは驚いたように目が見開かれた。・・・そう、いつ見ても部長が話しかけている。兼古先輩は、生徒会長を務めていることからも分かるように、社交的でよくしゃべる人だ。なのに部長といると、それを全部相手に譲ってしまうのだ。

「沢渡くんの言う通りだわ。私は我が強すぎるのかしら・・・」

「でも、部長がそんな風に動揺しているところを見ると、兼古先輩はとても喜ぶと思いますから、あんまりそんな顔を見せないほうがいいですよ」

「もう、沢渡くんはっ!」

・・・見ていると、今度は泣きそうな顔になってきた。ヤバイ。

「まったく、祐輔はなんて大人気ないのかしら。そうならそうと私に言ってくれればいいのに・・・。ごめんね、沢渡くんにまで迷惑をかけて」

はい。まさかこんなことになろうとは・・・。

「でも一つだけお願いを聞いて。今夜は私とデートしましょう」

・・・どうしてそうなるんですか。

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