1/27 (水) 18:00 贈り物

部活がないため、そのまま美智の家に立ち寄ることになった。

「祐輔は試験勉強をしていいわよ。編集は私がやっておくから」

くぅ~、癪に障る言い方。

「でも、俺にだって観る権利はあるだろ?自分の演技を客観的に観ることは大事じゃないか」

「・・・完成版でもいいんじゃないの?」

・・・これは単なる嫌味だから、そのまま受け取らないことにする。・・・美智にもそれが分かっている。

作品を観ながら思ったこととしては、

「これは、新入生歓迎会でウケそうだな」

「それは言えてる。私もそうしようと考えていたところよ。・・・今の部には、ヒロインになれるような女の子がいないじゃない。だから、祐輔と沢渡くんというクリウスの2大アイドルに活躍してもらえると、女の子の入部希望者が増えるんじゃないかと思うわ」

・・・上柳さんといういい女優がいなくなったことは、部としては痛い。コンクール向けの作品にはあまり恋愛をテーマにしないほうがいいが、それにしても男女のバランスがうまく取れないのだ。

「しかし、この沢渡の艶っぽさは何だ?・・・いつにも増してって感じじゃないか」

これでは、男まで変な気を起こして入部してきそうだ。

「きっと、何かいいことがあったのよ。最近沢渡くん、ご機嫌だもん」

「そうか?」

「そうよ。祐輔は役に没頭していたから分からないかもしれないけれど、確実に何かあったわよ。ねえ、これを見て」

美智がパソコンを操って、そのシーンを見せてくれる。・・・沢渡が一人で荒れ狂うシーンだ。そこで、ほんの一瞬だけど・・・一時停止にすると、ネックチェーンの先に指輪がついているのが見えた。

「凄くいい指輪よ。彼女からのプレゼント?」

「すると相手は相当リッチということになるぞ」

「少なくとも、クリウスの女の子じゃ太刀打ちできないくらい、の人よ。かなり年上ということになる」

それじゃ、上柳さんも敵わないな。あの沢渡をもっとイイ男にさせる女の人とはどんな人か・・・実に気になる。

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