今のところ僕の形勢は不利。どうして分かってもらえないのだろう。今は僕の意見が一番よさそうなのに。
「客観的に見ていて、どうだった?」
こういうときに頼りになるのはやはり結城だ。そう、僕はおもいっきり当事者なので、主観がすべてになってしまっている。
「お前、力が入りすぎているよ。確かに、今はよりよい意見が生まれないけど、だからと言って自分の意見を押し付けようとするのはやりすぎだ」
「押し付けようとしているように見える?」
結城は苦笑しながら頷く。いつも難しいと思うのは、リーダーシップを発揮しつつもみんなの意見を取り入れなければならないという、そのさじ加減。前者が強すぎると独裁的だし・・・今の僕の立場から行くと、でしゃばり過ぎだし、後者が強いと頼りなく見られてしまう。・・・今のままではダメか。
「じゃあ、結城自身は僕の意見に対してどう思ってる?」
「正直に言うと、すべてにおいては賛成できない。でも俺自身もそれを埋められるようないい案を持っていないから、申し訳ないんだけど」
そして僕は具体的に指摘してもらう。他の議員の方からもいい考えがいくつかあったのだけど、うまくまとめられない。
「よし、じゃあ、気分転換しに行こう」
結城は膝を叩いて立ち上がった。それには僕も賛成だ。まだ先は長いのに早くも行き詰まっていたら今後どうなることやら。
「とりあえず宮殿を出ようよ」
外の空気に当たりたい、身体を動かしたい。そうすれば何か新しい考えが浮かぶかもしれないから。
「でも風邪をひくなよ。免疫力は落ちていると思うから」
分かっているよ。
そして二人で夜の海岸に出かけ散歩をした。かなり寒かったけれど、その分頭は冴えてきた。
「花火でも持ってくればよかったね」
「何を言ってるんだ、お前は」
だって、こんなときには、できるだけ日常から離れることが大事だと思わないか?・・・頭を空っぽにしたい。