そして議会はあっという間に解散することになり、1ヵ月後に選挙が行われることになった。・・・しばらくは世間が慌しくなりそうだ。
しかし、それにしても、疲れが目に見えてたまっている。
「竹内、僕は大丈夫そうに見えるかな?」
やっと帰ってきて執務室にたどり着いたところで、竹内に聞いてみる。
「目の下にクマがくっきりと。そして、10歳くらい老けたようにお見受けいたします」
・・・ある程度はメイクさんにお願いして直してもらうにしても、危険な感じがする。本当にこのところ眠れない。ドクターから睡眠薬をいただいているのだけど、睡眠の質はよくない。
「ドクターをお呼びしてまいります」
「いや、ちょっと休めばよくなるから。・・・結城を呼んでくれる?」
「かしこまりました。少々お待ちください」
竹内はてきぱきと部屋を出て行く。すると入ってきたのは沢渡くんだ。
「今日の分の報告に参りました・・・が、殿下、大丈夫ですか?」
いきなり沢渡くんが言うとなると、相当危険かな、僕は。
「この報告が終わり次第、一旦部屋に帰るよ。手短に話して」
「はい、かしこまりました」
そして沢渡くんはいつものごとく、簡潔に、明瞭に、一日の出来事の中で気づいたことを話してくれた。・・・沢渡くんらしい視点と興味の持ちように、笑みがこぼれてくることもあれば、耳が痛いと思うこともある。
「響」
すると、結城が硬い表情で飛び込んできた。
「もう少しで終わるから待ってて」
結城は苦虫を噛み潰した様子で、ソファーに腰を下ろす。そしてチラチラと沢渡くんの後ろ姿をうかがい、報告が終わるとすぐに彼を下がらせた。
「顔色が悪いぞ。医療室に連れて行く」
「部屋がいい。少し休めばよくなると思うから、眠らせて」
解散したんだ、しばらくはいいだろう・・・、何だか急に疲れが押し寄せてきた気がするよ。