目覚めると・・・、舞の顔があった。
「おはよう」
「おはよう。・・・でもどうして?」
「みなさん、お忙しいのよ。それでいて、殿下の回復に一番尽力できそうなのは私ということで、お呼びをいただいたの。・・・安心して休んで」
・・・昨夜は、結城の顔を見たところまでは覚えているのだけど、そのあとは?倒れてしまったのかな、やっぱり。一応希望通り、自室で寝かせてもらっているようだ。そして左腕には点滴の針。
「単なる過労?」
「単なるなんて言えないくらい行き過ぎているけど、特に悪いところはないみたいよ。重度の過労ね」
よかった。だったらしばらく眠れば治るだろう。でも、僕がいない間大丈夫かな?・・・というか、今何時だろう?・・・昼だね。
「いつからここにいるの?」
「朝からよ。だから私のことは心配しないで。でも、この点滴が終わるまでは寝かせておくようにと、ドクターからの言いつかっているから、それは守ってね」
そうか・・・。ぐっすり眠れたおかげで気分は随分よくなったみたいだけど、まだ身体がだるい。点滴はあと半分。早く仕事に復帰しなければならないけれど、今この時間は舞との時間をゆっくり過ごしたい。
「もう少し眠ったら?」
「もう十分だよ。・・・ずっと何してたの?」
朝から来たにしても、何時間かここで過ごしていることになるのに、本を読んでいたわけではないばかりか、音楽すら流れていない。
「ずっと貴くんの顔を見ていたの。・・・だって、時々うなされていたから」
「嘘だ。・・・何か言わなかった?」
「そうね~、キャサリンがどうとか、言っていたかな?」
キャサリン?・・・どのキャサリン?…カンパニーの令嬢のことか?それとも…国の皇女のこと?
「・・・ウソ、何か心当たりがあるわけ?」
いや~、それは、その・・・、と思っていたら、舞が軽く僕のことを睨んで苦笑した。
「冗談よ。静かにぐっすり眠っていたわ。・・・私、そろそろ帰ろうかな?」
待って、ごめん。僕が悪かったよ。