「お前の回復力には目を見張るものがあるよ。元気そうになってよかった」
昨日は日が暮れてから、しかも無理のない仕事しかできなかったけれど、今日からは完全復帰。
「やっぱり、毎日の睡眠が大事だよね。改めてドクターと相談することにするよ」
毎日ぐっすり眠れれば体調を崩すことなどなさそうなだけに、今回のことはやや反省している。
「よい心がけだ。お前は一人しかいないんだから、気をつけてくれ」
うん、分かっている。・・・ところで、
「一昨日、僕はどうなったの?倒れてしまったの?」
結城の顔を見たらホッとしたのか、その後のことはよく覚えていない。・・・ベッドで目覚めるまでは。
「本当に覚えていないのか?」
「うん・・・もしかして、僕を運んでくれたの?」
何だ残念だな、覚えてないのか・・・と、結城は何やら急に残念そうな顔になった。・・・もしや、お姫さま抱っこをしてくれたわけでは。
「心配するなって、俺は沢渡しか抱きかかえたりしないから」
・・・あの、沢渡くんのほうが、断然身体が大きいんですけど。
「やっぱり、沢渡くんに対する愛情は、度を超えていない?」
「どうして?俺はそうしたいからするだけだ。・・・それに、響には倒れる心配がないから、そうする必要もないし」
はあ?
「だから・・・、別にお前は倒れたりしなかった。フラフラしていたけど、ちゃんと自分の足で歩いていたからな」
ああ・・・そういうこと。これはますます、倒れるわけにはいかないね。昨日のことでさえ舞は結構嫉妬していたみたいなのに、結城のことまで意識されてしまったら大変だ。・・・いやいや、僕の発想は相当物騒だな。それより言うべきことが。
「舞を呼んでくれてありがとう。おかげで早く回復したんだ、きっと」
「だろ~?やっぱり愛の力は偉大だよな」
・・・あの、一人で納得しないでくれる?