2/19 (金) 19:30 擬似デート

忙しいのかな?と思いきや、あっさり、今日は帰りにデートとなった。

「今日は役の彼のつもりでエスコートするから、よろしく」

「こちらこそ」

手をつなぐのはマズイかな?と思って聞いてみたら、遠出をするとのこと。車で近くの都市に移動して、そこでデートするという念の入れようにはビックリした。彼には事情があるのだろうけど、私のことを考えてのことでもあると思う。・・・それは嬉しい。

私たちはウィンドウショッピングをしながら・・・一緒に洋服まで見てもらっちゃった、いろんな話をした。

「私のどんなところが好き?」

「そうだね・・・とても明るくて前向きなところだよ。君を見ていると僕も元気になれる。じゃあ、君は僕のどんなところが好き?」

「それはもちろん、とても優しいところ。私は結構わがままだと思うのに、何でも許してくれるね」

「僕はわがままだとは思っていないよ。・・・でもね、僕以外の人に同じことを言わないで。僕は君のことが好きだから包み込んであげられるけれど、他の人からはそうしてもらえないだろう。君が他の人に当たったりしないように、僕がいるんだ」

・・・それって、どういうこと?

「人間は一人では生きられない。でも、他の誰かと生活するということは、ある意味自分を偽ることでもあると思うんだ。いつも自分の思う通りには振る舞えないだろう?するとストレスがたまってしまう。・・・でも僕にならそのストレスをぶつけてくれていい、君の言葉だったら何だって聞ける。そんなはけ口が人間には必要だし、僕が君のその場所になれたらって思ってる」

沢渡くん・・・。沢渡くんって素敵な恋人がいるのね。そこまで信頼し合える人なのね。そして・・・沢渡くんもその恋人に感情をぶつけているからこそ、いつも穏やかにいられるのね。

私は気持ちが昂って、沢渡くんに抱きついていた。本当の彼氏だったらどんなにいいだろう?優しく私を抱きしめて髪をなでてくれるその手が、私だけのものだったらどんなにいいだろう?

・・・でもこれは、私がお願いしてもらっているだけのこと。ここで変な気持ちを起こしたら、沢渡くんに申し訳ない。

「ありがとう。・・・私も、そんな場所になれたらいいと思ってる」

「いいんだよ。これは女の子だけの特権。僕が君のことを好きになってしまったことへの償い」

償いだなんて・・・。沢渡くんは本当に優しい。

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