2/23 (火) 13:00 普通vs普通じゃない

普通って何だろう?僕は今まで普通にとどまらないように、と育てられてきた。そしてもちろん、学校では個性を出し過ぎないように、とも教わってきた。でもどうも、そのさじ加減がよく分かっていないみたいで。

昼休み、ちょうど村野さんが通りかかったので、僕たちの席に誘った。

「僕って普通じゃない?」

「普通じゃないわよね~」

彼女があまりに真顔で答えたので、隣で朝霧が大爆笑する羽目になった。

「僕から言わせてもらえば、クリウスのみんなのほうが普通じゃないよ。他人のことを詮索したり、集団にならないと行動できなかったり、そのくせ自分が一番と思うところがあったり・・・」

「沢渡くんって、そんな風にみんなのことを見てるんだ~。私、沢渡くんのこと好きかも」

その発言は大丈夫?ほら、周りの子たちも振り返っているじゃない。

「違う違う。私は別に沢渡くんに対して恋愛感情は持っていないわ。ただ興味があるだけ。確かにクリウスは普通じゃないわよ、でもその中でも一番普通じゃないのは沢渡くん。・・・ただ、私は普通でいることがいいことだとは思わないし、沢渡くんにはもともとそれが無理だってことも分かっているから、沢渡くんにぜひこのクリウスを変えてほしいと思ってる。でもね・・・、それで他人を傷つけるのはよくないと思うんだよね」

僕は沙紀ちゃんのことを傷つけた?

「だから、相手によるってことなのよ。その意味では私も、沢渡くんと接していても変な気を起こしたりしないから普通じゃないんだけど、沙紀ちゃんはごく普通の子なのよ。ささやかでいいから、高校生らしく、彼氏と付き合ったり、部活を楽しんだりしたいだけ。そこに来ると沢渡くんという存在はちょっと、刺激が強すぎるみたいなのよね」

・・・。

「だから、沙紀ちゃん相手には、あまりリードしないほうがいいんじゃないかと思うの。沢渡くんって凄く優しいじゃない?その優しさを、すべてを包み込んであげることにではなくて、彼女に合わせてあげることに遣ってあげて。そうじゃないと、彼女がもちそうにないから」

なるほど・・・。正直僕は、村野さんの観察眼に驚いた。言われてみるとすべてのことに納得がいく。沙紀ちゃんは僕から見るととてもかわいらしい部類の子だ。純粋で、時々あどけなさを感じたりする。だから、僕が有紗さんにしてあげると喜んでもらえることも、沙紀ちゃんには喜んでもらえないことがあるというのは、ある意味当然だ。でも、今までそれに気づかなかった。

そうだね・・・、僕の周りにいる人が普通じゃなさ過ぎるんだ。・・・殿下はどこに行かれてもマイペースだと思うけれど、国民からの人気は絶大。それも場に合わせた態度や発言をなさっているからだろう。

場の空気を読むこと・・・、これが今後の課題だね。

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