昨日から選挙が始まり、国中が賑やかになっている。幸い僕には選挙に出馬する必要も、候補者を応援する必要もない。・・・ただ、身近なところでは兼古くんのお父さまが出馬されているから、兼古くんは大変だと思う。クリウスは試験中だというのにね。
相変わらず僕には次から次へと雑用が押し寄せてきて、ひたすらそれをこなす毎日。ただ、この間は彼女に会えたからしばらくは頑張れそうかな。
と思っていたら、世話の焼ける友人からのメールを見つけた。
“件名:仕事は大変かい?”
もちろん大変だよ。何だって?
“君の国は選挙で大変みたいだね、加えて君たち自身も。いよいよMaiは仕事を辞めるそうじゃないか。もうすぐ幸せがやってくると思えば、この忙しい時期も乗り切れるんじゃないかな?その時にはめいっぱい祝福させてもらうから、喜んで受けるように”
はいはい。ありがとう。
“P.S. Maiは相変わらず素敵だね。ちょっとそっけないところも”
・・・何?何かあったのか?
僕たちはこれまでにも何度かモーリスに振り回されてきた。でも、今回みたいな忙しいときにそういうことをするのはやめてくれないかな?・・・しょうがない、電話でもかけておくか。
“ああ、Taka。元気かい?”
「元気かい、じゃないだろう。舞に何をしたんだ」
“別に。昨日少し電話で話しただけだよ。Maiは僕にとって女神みたいな存在だ”
・・・どうしてだ?他に好きな人ができたんじゃなかったのか?
“そうだけど、Maiは別格だよ。・・・ああ、大丈夫。Takaとの間は邪魔しないよ。Maiと友達でいられれば僕は幸せなんだから”
「だからって・・・、彼女は今いろいろと心配事があってナーバスになっているんだ。そんな時に更に悩みを増やしてどうする?」
“そうかな?彼女はいつも僕に親切だよ”
「それは、立場的に親切にせざるを得ないからだろ?・・・って言うか、いつもって何だよ」
“え?メールの返事をくれたりとか・・・”
「いい加減にしろよ!僕がいいって言うまで、僕にも、そしてもちろん舞にも連絡してくるな!舞には、電話もメールも無視するように言っておくから、分かったな!」
切。
ああ、イライラする。何をしでかすんだアイツは、全く。